暮らしに役立つQC七つ道具(4) ―― ヒストグラム:「全体」の「傾向」をつかむ
● 毎日の昼食代のバランスはとれている?
さて,それでは例題を考えてみましょう.
Z(ツェット)くんは,困っています.
なぜか,いつも月末になるとお金が足りなくなってしまうのです.貯金もしたいのですが,今のままではとてもできません.特に無駄遣いをしているつもりもないのに,どうしてお金が足りなくなってしまうのか,分からないのです.
前回は,パレート図を使って,問題のある項目には何があるのかを調べました.パレート図は,個別の問題を解決すればよい場合には,よい方法です.しかし,問題が一部の個所に限られていない場合には,パレート図では間違った対策を立ててしまう可能性があります.
そこで,ヒストグラムを使って,全体的な傾向をつかんでおきましょう.
例えば,昼食代をヒストグラムにすることによって,いつも同じような金額を使っているのか,それとも何らかの偏りがあるのか,などがわかります.
ほかにも,月ごとの出費の合計をヒストグラムにすることによって季節や月ごとに出費の偏りがあるのかどうかを知ることができます.
もし,偏りがあるのであれば,それには何か「原因」があるわけで,その「原因」をつかむことで,「対策」を考えることができるわけです.
Zくんが使った金額をチェック・シートに記入しはじめて,3ヶ月がたちました.金額データがだいぶたまってきたので,気になっていた昼食代の使い方に問題がないかどうか,ヒストグラムにしてみることにしてみました(図2).
Z:「昼食代は,平均でちょうど600円になっているけど,平均より多いときや少ないときが半分以上あるんだ.チェック・シートを見てみると,給料日の後は高いランチが多いけど,月末は少なくなって,うまく帳尻が合っているんだ.こうしてみると昼食代は,今の状態でもいいかも知れないなぁ.」
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次回は「散布図」を取り上げます.お楽しみに.(^ ^)
*参考文献: 不透明な時代を見抜く「統計思考力」神永正博 著
くにひろ・よういち
◆筆者プロフィール◆
国広 洋一(くにひろ・よういち).東京多摩在住の組み込み系ツール企業勤務エンジニア.『基本から学ぶソフトウェアテスト』の勉強会に参加したことをきっかけに,社外の勉強会にときおり参加しています.TEF(Testing Engineer's Forum;ソフトウェアテスト技術者交流会)やSQiP(Software Quality Profession,スキップと発音する)の勉強会に行くと会えるかも.TestLink日本語化部会のメンバでもあります.オープン・ソースのテスト管理ツールであるTestLinkをどうぞよろしく.