ボードの混流生産を実現する次世代実装ラインや白色LED用高放熱基板に注目 ―― JPCA Show 2009レポート

福田 昭

tag: 実装 電子回路

レポート 2009年6月 8日

 プリント基板技術と実装技術に関する総合展示会「JPCA Show 2009(第39回国際電子回路産業展)/2009マイクロエレクトロニクスショー(第23回最先端実装技術・パッケージング展)/JISSO PROTEC 2009(第11回実装プロセステクノロジー展)」が2009年6月3日~5日に東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された.3日間の来場者数(実登録者数)は2万8,481名で,前年の3万7,702名と比べるとかなり少なかった(写真1).2008年後半以降の景気後退の影響がうかがえた.


[写真1] JPCA Show 2009の会場風景

●品種切り換えを自動的に実行する実装機

 実装機の展示では,大手実装機メーカのパナソニックファクトリーソリューションズが次世代実装ラインのモデル展示を行って,来場者の注目を集めていた.モジュール形式の電子部品自動搭載機「NPM」とデュアルスクリーン印刷機「NPM-DSP」を組み合わせた実装ラインである(写真2).異なる品種が混在しても自動的に品種切り換えを実行する.部品搭載後の外観検査機能を内蔵して,良品率を高めた.


[写真2] パナソニックファクトリーソリューションズが展示した次世代実装ラインのモデル
スクリーン印刷機「NPM-DSP」を1台と部品自動搭載機「NPM」を8台,接続してある.NPM8台の中の1台は塗布モジュール,1台は検査モジュールとなっている.

 大手実装機メーカの富士機械製造は,686mm×508mmと大きなプリント基板を扱える電子部品自動搭載機「XPF-L/W」を展示した(写真3).稼働中に高速タイプのヘッドと多機能タイプのヘッドを自動交換する機能を備える.最大で128種類の部品を搭載可能.


[写真3] 富士機械製造の「XPF-L/W」
外形寸法が686mm×508mmと大きなプリント基板を扱える.

 電子部品搭載機メーカのアイパルスは,本体の横幅が1mと短い電子部品実装機「M8」を展示した(写真4).本体寸法は横幅1,000mm×奥行き1,850mm×高さ1,425mmである.取り扱えるプリント基板の最大寸法は510mm×460mm.最大で80種類の部品を搭載できる.


[写真4] アイパルスの「M8」
本体の横幅が1mと短い.

 実装機や実装用材料などの大手メーカであるタムラ製作所は,排気ダクトを省いたリフロ加熱装置「TND33-509LH」を展示した(写真5).排気ダクトがないため,設置に伴うダクト工事が不要になる.加熱ゾーン数は9ゾーン.全長は5,013mmである.


[写真5] タムラ製作所の「TND33-509LH」

 「TND33-509LH」は,加熱炉内で発生するフラックスや揮発性有機溶剤(VOC)などの有害物質を回収する機構を2種類,設けている.一つはラジエータで冷却されたフラックス回収ボックス,もう一つはヒータで加熱された有害物質回収用触媒である.

●白色LEDを想定した高放熱構造基板

 プリント基板の展示では,大手プリント基板メーカの日本シイエムケイが高い放熱性を有する基板構造のコンセプトをパネルで紹介していた.3種類の構造がある(写真6,写真7).1) 厚銅タイプ(厚さが0.5mm~6mmの銅板を放熱用ベースとし,発熱する素子をベースに張り付ける構造),2)  炭素金属複合材タイプ(厚さが1mm~10mmの炭素金属複合材をフィン状に加工して放熱用ベースとし,発熱する素子をベースに張り付ける構造),3) 究極の放熱構造(厚さが0.5mm~3mmの銅製浮き島構造を特殊な絶縁樹脂で支持した構造をコアとし,コアに耐熱性の高い絶縁材料を積層した2層構造),である.


[写真6]  日本シイエムケイが展示した,高い放熱性を有する基板構造のコンセプト
白色発光ダイオード(白色LED)のように,高い放熱性能を要求する素子を想定している.


[写真7] 日本シイエムケイが展示した,高い放熱性を有する基板構造のコンセプト(続き)

 展示ブースでは,炭素金属複合材タイプの放熱構造に白色発光ダイオード(白色LED)を搭載した基板を試作展示していた(写真8).


[写真8]  日本シイエムケイが考案した高放熱構造(厚さが1mm~10mmの炭素金属複合材をフィン状に加工して放熱用ベースとし,発熱する素子をベースに張り付ける構造)に白色LEDを搭載した試作基板

 フレキシブル・プリント基板メーカの宇部興産は,フレキシブル・プリント基板用ポリイミド・フィルム「ユーピレックス」の実物サンプルを来場者が触れられる形で展示していた.フィルムの厚さを変えることで,厚みによるフィルムの柔らかさの違いを直に感じ取れる(写真9).厚さが125μm,75μm,50μm,25μm,12.5μm,7.5μmのフィルムを展示していた.


[写真9] 宇部興産が展示したフレキシブル・プリント基板用ポリイミド・フィルム
厚さの違うフィルムを並べ,来場者が触って柔らかさの違いを感じ取れるようにしていた.

 


ふくだ・あきら
テクニカルライター/アナリスト
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