暮らしに役立つQC七つ道具(3) ―― パレート図:「何」が「重要」なのか?
●思ったより出費が大きい項目はどれ?
さて,それでは例題の続きを考えてみましょう.

なぜか,いつも月末になるとお金が足りなくなってしまうのです.貯金もしたいのですが,今のままではとてもできません.特に無駄遣いをしているつもりもないのに,どうしてお金が足りなくなってしまうのか,分からないのです.
前回は,出費の確認のために使った金額をチェック・シート(小遣い帳)にメモするようにしました.使った金額の記録はたまってきましたが,ただ記録しただけの状態なので,何がどう問題なのか,パッと見ただけではよく分かりません.
そこで,パレート図を使って,「問題」を見つけてみましょう.チェック・シートでまとめた金額の記録を入力データとして,パレート図を作成します.パレート図を作るのは,こんな手順になります.
- 各項目と金額をまとめる
- 項目と金額のデータを表計算ソフトに入力する
- 入力されたデータを基にして,棒グラフを作成する
- 3で作った棒グラフから折れ線グラフを作成する
- 棒グラフと折れ線グラフを結合する
パレート図を作る目的は,問題のある項目を一目で「見える」ようにすることです.人には「思い込み」があるため,必ずしも現象をそのまま意識できるわけではありません.大したことがないと思っているもの(項目)は,実際より過少に評価しがちです.逆に,意識しているもの(項目)は,過大に評価しがちなものです.
パレート図には,そんな思い込みを打ち破る効果があります.例えば,意識していないものに意外と出費していることが分かったりするかも知れません.
Zくんが使った金額をチェック・シートに記入しはじめて,1カ月がたちました.その金額データをパレート図にまとめてみることにしたようです.何か見つかったでしょうか(図2).
(a) 1カ月に使った金額
(b) パレート図
[図2] Zくんのパレート図
Z「趣味の自動車関係のお金が思ったより多いなぁ.それに缶コーヒーもこんなに買っていたんだ.缶コーヒーはなんとなく飲んでたけど,少し控えてみようかな」
* * *
次回は「ヒストグラム」を取り上げます.お楽しみに.(^ ^)
くにひろ・よういち
◆筆者プロフィール◆ 国広 洋一(くにひろ・よういち).東京多摩在住の組み込み系ツール企業勤務エンジニア.『基本から学ぶソフトウェアテスト
』の勉強会に参加したことをきっかけに,社外の勉強会にときおり参加しています.TEF(Testing Engineer's Forum;ソフトウェアテスト技術者交流会)やSQiP(Software Quality Profession,スキップと発音する)の勉強会に行くと会えるかも.TestLink日本語化部会のメンバでもあります.オープン・ソースのテスト管理ツールであるTestLinkをどうぞよろしく.