フルHD動画撮影やアート・フィルタ機能に対応したディジタル一眼レフ・カメラを展示 ―― フォトイメージングエキスポ2009(PIE2009)レポート

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2009年3月31日

  「『撮る』,『見る』,『つながる』フォトイメージングは新たな領域へ」をテーマに,写真・映像産業におけるアジア最大の総合展示会「フォトイメージングエキスポ2009(PIE2008)」が2009年3月26日~29日の4日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).今回で5回目を迎える本展示会は,写真,映像分野のインプットからアウトプットに至るすべてのフィールドを対象にしたイベントを目指しており,写真,映像文化の発展と用途の広がり,楽しさを幅広い層のユーザが体感できる場を提供するという.今年は国内外から136社・団体(812小間)が出展した.主催はカメラ映像機器工業会,写真感光材料工業会,日本カラーラボ協会,日本写真映像用品工業会の4団体.

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[写真1] 会場受付の様子

●2社がフルHD動画撮影対応のディジタル一眼レフの春モデルを展示

 パナソニックは昨年(2008年),小型・軽量のディジタル一眼レフ・カメラとして話題になった「LUMIX DMC-G1K」の後継機種「LUMIX DMC-GH1K」を展示した(写真2).本機の最大の特徴は,「DMC-G1K」の外形寸法を維持したまま,ハイビジョン動画の撮影に対応したことである.一眼レフならではの背景のボケ味などを生かしながら,1920ピクセル×1080ピクセル(60i記録,センサ出力24コマ/s),1280ピクセル×720ピクセル(60p記録,センサ出力60コマ/s)の映像を撮影できる.
 
 音声は,Dolby Digitalステレオで録音される.写真の撮影中でも,動画ボタンを押すことでムービ撮影がスタートする.また,ムービ撮影のじゃまにならない静音駆動のオート・フォーカスとズーム,絞り動作を実現した.手ブレ補正機能を搭載したズーム・レンズ(14-140mm/F4.0-5.8)が付属する.店頭販売は2009年4月24日から.

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[写真2] パナソニックの「LUMIX DMC-GH1K」

 一方キヤノンは,「EOS Kiss X2」の後継機種である「EOS Kiss X3」を展示した(写真3).本機は,約1510万画素のCMOSセンサ(APS-Cサイズ)を搭載しており,ビデオ信号処理LSI(映像エンジン)には,同社の製品ラインナップの上位機種と同じ「DIGIC4」を採用している.フルHD画質(1920ピクセル×1080ピクセル)の動画撮影も可能.また,毎秒3.4コマの連続撮影にも対応する.例えばJPEG(ラージ/ファイン)なら約170枚連続で,RAW画像なら約9枚連続で撮影できる.
 
 本機の常用ISO感度は100~3200で,感度拡張によりISO6400,ISO12800も選択できる.CMOSセンサの低ノイズ化,高感度撮影時のノイズ低減機能を強化した.店頭販売は2009年4月下旬を予定.本機と標準のズーム・レンズ(EF-S18-55mm/F3.5-5.6 IS)がセットになったレンズ・キット,および望遠撮影向けのズーム・レンズ(EF-S55-250mm/F4-5.6 IS)がセットになったダブル・ズーム・キットを用意する.

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[写真3] キヤノンの「EOS Kiss X3」

●オリンパスはディジタル一眼レフに6種類のアート・フィルタを搭載

 オリンパスイメージングは,アート・フィルタ機能を搭載したディジタル一眼レフ・カメラ「E-620」を展示した(写真4).「ポップアート」,「ラフモノクローム」,「トイフォト」など,6種類のアート・フィルタ機能を備える画像処理LSI(画像処理エンジン)「TruePie III」を内蔵する.液晶モニタを見てフィルタ効果を確認しながら,撮影意図に合わせて絞りやシャッタ・スピードを設定できる.

 イメージ・センサには,読み出し速度を高速化した1230万画素の「ハイスピードLive MOSセンサ」を採用した.また,撮影前に露出やホワイト・バランスの補正効果を液晶モニタに表示できる.パーフェクト・ショット・プレビュ機能を利用すれば,設定が異なる4種類の画像を並べて液晶モニタに表示できる.手ブレ補正機構は筐体内部に備える.

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[写真4] オリンパイメージングの「E-620」

●一眼レフ並みの大型センサを搭載したコンパクト・カメラを展示

 シグマは,ディジタル一眼レフ・カメラで採用されている大型のCMOSイメージ・センサ「FoveonX3」を搭載したコンパクト・デジタル・カメラ「DP2」を展示した(写真5).イメージ・センサの外形寸法は20.7mm×13.8mm,画素数は1400万ピクセル.FoveonX3は米国Foveon社が開発した独自のCMOSセンサである.他社のイメージ・センサは,一般に光の3原色のうちの1色のみを取り込み,演算によってほかの色を求めている.一方,Foveon社のCMOSセンサは3層構造の画素により光の3原色を直接取り込める.そのため,画質面で有利とされている.

 このCMOSイメージ・センサの能力を引き出すために,24.2mm F2.8レンズ(35mm換算で41mm相当の画角)を開発した.グラス・モールド非球面レンズを2枚使用する.また,スーパ・マルチレイヤ・コートの採用により,フレア・ゴーストの発生を軽減しているという.

 画像処理LSI(画像処理エンジン)「TRUE II」を新規に開発した.データの記録方式はRAWとJPEG.RAWフォーマットについては,データが劣化しない可逆圧縮方式を採用している.RAWデータに対応したソフトウェア「SIGMA Photo Pro」が付属する.記録媒体として,SD/SDHCメモリ・カードとマルチメディア・カードに対応する.

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[写真5] シグマの「DP2」

●裸眼で立体視を楽しめる3D映像システムを富士フイルムが紹介

 富士フイルムは,裸眼で立体映像を楽しめる3Dディジタル映像システム「FUJIFILM FinePix Real 3D System」を展示した(写真6).左右に並べた2基のレンズと二つのCCDイメージ・センサを内蔵する専用のディジタル・カメラにより,高画質の3D写真(静止画)と3D映像(動画)を撮影できる.これらの3D写真,3D映像は,カメラ背面の液晶モニタや3D対応のディジタル・フォト・フレームで再生できる.

 本システムの特徴は,裸眼で3D映像を楽しめる点にある.通常の2D映像の撮影・再生も可能である.「リアルフォトエンジン3D」と呼ぶハードウェアを搭載する.左右に並べた2基のレンズを備える「リアル3Dレンズシステム」と二つのCCDイメージ・センサを利用して撮影情報を取り込み,カメラ本体で同期させて3D映像を合成する.併せて,カメラ背面の液晶モニタや3D対応のディジタル・フォト・フレームで立体映像として再生できるように画像処理を行う.

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[写真6] 富士フイルムの「FUJIFILM FinePix Real 3D System」

 同社は,蛇腹折りたたみ式の中判銀塩カメラ「GF670 Professional」も展示した(写真7).6cm×6cm,および6cm×7cmの2種類の画面サイズを切り替えて使用できる.これは35mmフィルムと比べると約3.6倍,約4.5倍のサイズである.画面サイズの切り替えと連動して,ファインダの視野内で撮影範囲を示すブライト・フレームやフィルム・カウンタなども切り替わる.

 レンズは4群6枚構成で,焦点距離が80mm,明るさがF3.5のEBC(Electric Beam Coat)フジノンレンズを採用している.ファインダ内に見える2重像を重ねるようにしてピントを合わせるレンジ・ファインダ・カメラであるため,ピントのズレを視覚的に捉えやすく,正確で素早いピント合わせが可能となっている.フタを閉めた状態の厚さは64mm,重さは1000gと,中判カメラとしては小型・軽量である.出荷は2009年4月下旬からの予定.

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[写真7] 富士フイルムの「GF670 Professional」

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