ソニーの11インチ有機ELテレビに注目が集まる ―― CEATEC JAPAN 2007

組み込みネット編集部

tag: 電子回路

レポート 2007年10月29日

 「見える,感じる,デジタルコンバージェンス最前線.」をテーマに,2007年10月2日~10月6日の5日間,幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)において通信,情報,映像技術に関する展示会「CEATEC JAPAN 2007」が開催された(写真1).会場では,PLC(Power Line Communications)などのディジタル・ネットワークに関する部品やシステム,および大型液晶テレビなどの家電機器が多数展示された.5日間の来場者は20万人を超えたという.中でも注目されたのが,ソニーの11V型有機EL(electroluminescence)ディスプレイを搭載した薄型テレビである.液晶などと異なり,自身で発光する有機ELを採用している.

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[写真1] CEATEC JAPAN 2007が行われた幕張メッセの会場

●自身で発光する有機ELを用いた薄型テレビに注目集まる

 ソニーは,11V型有機ELディスプレイを採用した薄型テレビを展示した(写真2).有機ELディスプレイの厚さは3mm.受信方式は地上デジタル放送やBSデジタル放送,110度CSデジタル放送に対応する.地上アナログ放送やワンセグ放送には対応しない.マイクロスピーカを四つ内蔵する.内部アンテナの受信周波数は470MHz~770MHz.消費電力は45W(待機時は0.84W).パネルの解像度は960ピクセル×540ピクセル,外形寸法は287mm×253mm×140mm.

 同社は,本薄型テレビの出荷を2007年12月に開始する.価格は20万円.

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[写真2] 有機ELディスプレイを搭載したソニーの11V型テレビ.

●電圧4.05V,600mWの電力を約2週間以上連続で取り出せる燃料電池

 STMicroelectronics社は,水素式小型燃料電池システムの試作機を展示した.数社のパートナ企業と共同開発しており,2009年の市場投入を目指す.試作機の外形寸法は88mm×55mm×32mm.製品化の際には,さらに小型化し,携帯電話やディジタル・カメラ,ゲーム機,ノート・パソコン,ディジタル・ビデオ・カメラ,ラジオなどで利用できるようにする.

 同システム(写真3)は主に,燃料電池コア・ユニット(写真4)と電源制御ユニット,水素圧力レギュレータ式接続バルブから構成される.電源制御ユニットには,同社が携帯電話向けに開発したLSIが組み込まれている.

 燃料電池コア・ユニットは,写真5のように電極と触媒,電解質,ベース・シリコンから構成される.この燃料電池コアは,半導体シリコンの微細加工技術を利用し,ベース・シリコンの穴の形状や穴径を細かく加工・制御して実現した.これにより,水素が効率良く電解質に到達するという.燃料電池コアの出力電圧は0.45V.燃料電池コアを9個直列に接続したコア・ユニットの出力電圧は4.05V.例えば600mWの電力を約2週間以上連続で取り出したり,1.4Wを5~6時間連続で取り出すことができたという.

 2009年の市場投入時には,1コアの出力電圧が0.6V,コア・ユニットの平均出力電力が2.5Wの燃料電池を商品化する方針.

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[写真3] システムの構成

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[写真4] 燃料電池コア・ユニットの外観

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[写真5] 燃料電池コアの構成

●エネルギ回生などに利用できる53000μFのコンデンサを展示

 日立エーアイシーは,最大容量が53000μFのアルミ電解コンデンサ「FXW2シリーズ」を展示した(写真6).2007年内に製品化する予定.85℃で5000時間の動作を保証していることが特徴.

 産業用機器のエネルギ回生に向いている.例えば,自動車のプレス機やビルの電力バックアップなどに利用できるという.定格電圧は350V~4500V,容量は10000μF~53000μF,動作温度範囲は-10℃~+85℃.外形寸法は77mm×152mm~121mm×283mm.

 小型で容量の大きいコンデンサとして,電気二重層コンデンサがよく利用される.アルミ電解コンデンサは電気二重層コンデンサより出力密度を大きくとれ,瞬発力に優れる.同社の展示資料によると,アルミ電解コンデンサの出力密度は数kW/kg~100kW/kg,エネルギ密度は0.01Wh/kg~0.1Wh/kgであるのに対して,電気二重層コンデンサの出力密度は数十W/kg~数kW/kg,エネルギ密度は0.4Wh/kg~数Wh/kgである.

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[写真6] FXW2シリーズの外観

●コンセント経由でインターネット接続

 高速電力線通信推進協議会のブースでは,HD-PLC(High Definition-Power Line Communication)製品が展示されていた.HD-PLCとは松下電器産業が提唱する高速電力通信方式である.宅内の電力線を情報伝送路として使う技術で,家庭のコンセント経由でネットワークに接続できる.

 インターネットとつなぐ際には,ADSLや光ファイバなどのインターネット回線→モデムあるいはルータ→PLCマスタ・アダプタ(写真7)→宅内電力線→PLCターミナル・アダプタ→パソコン,といった具合に接続する.HD-PLC機能を内蔵したAV機器も展示された(写真8)

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[写真7] 松下電器産業のHD-PLCアダプタ

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[写真8] PLCモジュールを組み込んだアイ・オー・データ機器のネットワーク・メディア・プレーヤ

●表面の色が切り替わるプッシュ・スイッチ

 オムロンは,表面の色が切り替わるプッシュ・スイッチ「B3W-9シリーズ」を展示した(写真9).プッシュ・スイッチの表面のプラスチック・パネルに,基板実装したLEDを二つ内蔵する.赤,青,緑,黄緑の4色を利用できる.動作電圧は5V~24V.外形寸法は10mm×10mm×11mm.

 これとは別に,表面に赤色や青色,緑色の文字を切り替えて表示できるプッシュ・スイッチも開発中(写真10).色のついた文字シートが組み込まれており,赤い光を当てると赤い文字を,緑の光を当てると緑の文字を,青い光を当てると青い文字を表示できるようにした.

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[写真9] B3W-9シリーズの外観

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[写真10] 文字を表示するスイッチ

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