到達距離の長いUHF帯のRFIDタグやリーダ/ライタが続々 ――第4回自動認識総合展・大阪

組み込みネット編集部

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レポート 2007年2月27日

 2007年2月15日~16日,社団法人 日本自動認識システム協会(JAISA)は,マイドームおおさか(大阪府大阪市中央区)にて,RFID(Radio Frequency Identification)やバーコード,ICカードなどの自動認識技術に関する展示会「第4回自動認識総合展・大阪」を開催した(写真1写真2).本展示会では,RFIDタグ,バーコードやRFIDタグなどのリーダ,RFID対応の印刷機,それらを用いたシステムなどが紹介された.中でも,2006年1月の電波法改正によりRFIDとして使用しやすくなったUHF帯のRFIDタグやリーダ/ライタの開発・製品化に,各社が力を入れていた.また,「UHF帯ICタグシステムの干渉実験と回避策」や「書換え表示付きRFタグを活用したシステム」などのセミナも行われ,数十人の聴講者が聞き入っていた(写真3)

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[写真1] マイドームおおさか

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[写真2] 展示会の入り口付近の様子

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[写真3] セミナに聞き入る聴講者

●到達距離の長いUHF帯RFIDシステムの導入を支援

 大日本印刷は,UHF帯のRFIDを利用するシステムの導入サポート・サービス「Opti Site」を紹介した.UHF帯は13.56MHz帯や2.45GHz帯と比べて到達距離が長く,数mに達する場合もある.そのため,ほかのRFIDタグとの干渉が起きやすい.また,電波は金属や水分の影響を受けやすく,実際の導入には注意が必要である.同社は,現場の調査から導入予定の装置や環境の検証,テスト運用,実運用,保守までをサポートするという.例えば検証の場合,あるベルト・コンベアを用いたRFIDシステムにおいて,ペット・ボトルの入った段ボール箱のどの位置にRFIDタグを取り付けると読み取り精度が高いかということを調べる(写真4).本サービスは,13.56MHzや2.45GHzなどでも利用できるという.

 同社はまた,アンテナ形状などが異なるさまざまなUHF帯のRFIDタグを展示した(写真5).4インチ×1インチや4インチ×2インチ,4インチ×4インチなどに大きさをそろえた.これらのRFIDタグは,国際標準規格であるEPC(Electronic Product Code) Class1に対応するという.

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[写真4] 青いタグは読み取り精度が高く,赤いタグは読み取り精度が低い

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[写真5] フック型などのさまざまなアンテナを持つUHF帯のRFIDタグ

●伝票とUHF帯RFIDを同時に何度でも書き換えられるプリンタ

 パナソニック コミュニケーションズは,UHF帯のRFIDと伝票が一体となったシートを何度でも書き換えられるプリンタ「KU-J7100シリーズ」を参考出展した(写真6).ロイコ染料でコーティングした感熱式の書き換え可能な伝票(写真7)への消去・書き込みと,UHF帯EPC対応のRFIDへの消去・書き込みを同時に行う.物流の現場において,RFID付きの伝票の再利用が可能になるという.従来品は13.56MHzに対応していたが,本プリンタはUHF帯に対応する.解像度は300dpi.新しく印刷した伝票をトレーの一番下に出力して,番号の古い伝票を上から取れる工夫を施している.

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[写真6] 「KU-J7100シリーズ」の外観

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[写真7] UHF帯RFIDタグ付きの書き換え可能な伝票

●金属に打刻した2次元バーコードの読み取りデモンストレーション

 東研は,さまざまな印字環境において読み取り可能な固定式2次元バーコード・リーダ「TFIR-3151」を用いて,金属に打刻したドット状の2次元バーコードを読み取るデモンストレーションを行った(写真8).数種類の設定で読み取りを行い,最適な設定を自動的に選ぶ.反転イメージや白黒反転の読み取りも可能.本リーダを用いると,自動車の金属部品などに打刻されている2次元バーコードを精度よく読み取ることができるという.また,通常のリーダを用いて基板にエッチングした2次元バーコードを読み取るデモンストレーションなども行っていた(写真9)

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[写真8] 金属に打刻した2次元バーコードを読み取れる「TFIR-3151」

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[写真9] 自動車などで用いられる基板にエッチングされた2次元バーコード

●Visual Studioで開発できる13.56MHz帯RFIDシステム開発キット

 トッパン・フォームズは,タカヤ製の13.56MHz帯RFIDリーダ/ライタ「TR3シリーズ」とソフトウェア・ライブラリ,サンプルのRFIDタグなどを合わせた「RFIDシステム構築キット」を展示した(写真10).制御プログラムはMicrosoft社のVisual Studio.NETで開発できる.リーダ/ライタとパソコンのインターフェースはUSBまたはRS-232-C.通信距離が10cm,30cm,60cm(参考値)のタイプを用意している.

 同社はそのほかに,SH-2マイコンを搭載しパソコンが不要な13.56MHz帯のRFIDリーダ/ライタ「RFIDインテリジェントリーダライタ」やその開発キット,外形寸法が15mm×20mmと小型のUHF帯RFIDタグ,無指向性のUHF帯RFIDタグ(写真11)なども展示した.

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[写真10] 「RFIDシステム構築キット」の外観

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[写真11] 無指向性で通信距離が7m~8mのUHF帯RFIDタグ

●RFIDタグのIDをテキスト出力するソフトウェアのデモ

 オムロン ソフトウェアは,いくつかのRFIDシステム開発キットを展示した.「かんたんIDリード」は,RFIDタグのIDのテキスト出力を行う(写真12).ユーザがExcelなどを利用したテキスト入力の管理ソフトウェアを開発することで,RFIDシステムを構築できるという.USBインターフェースのRFIDリーダ/ライタと常駐させるID読み取りソフトウェアから構成される.「RFID遠隔リード」は,1台のホスト・パソコンで複数台のRFIDリーダ/ライタを管理するシステムに利用できる(写真13).同社製のRFIDリーダ/ライタをセンチュリー・システムズ製のLinuxBox「TM-100」と呼ばれる専用コンピュータで制御する.LinuxBoxとホスト・パソコンのインターフェースには,Ethernetや無線LAN,PHSなどが利用できるという.ホスト・パソコン用のソフトウェアは,ユーザが開発する必要がある.

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[写真12] 写真に取り付けられたRFIDを読み取る「かんたんIDリード」のデモンストレーション

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[写真13] 読み取ったRFIDタグの情報をホスト・パソコンに送信する「RFID遠隔リード」のデモンストレーション

●ハンズ・フリーで使える13.56MHz帯のRFIDリーダを展示

 ウェルキャットは,リスト・バンド型のRFIDリーダ「WIT-150-T」を展示した(写真14).周波数帯は13.56MHzで,国際標準規格であるISO/IEC 15693に対応する.また本リーダは,読み取ったデータをBluetooth通信を用いてパソコンに送信できる.RFID用の外付けアンテナ「AU-001」を指に取り付けるとさらに操作性が良いという.倉庫における出庫などの実績の収集に使える.電池は,Li(リチウム)イオン電池で,寿命は10時間程度.

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[写真14] 「WIT-150-T」を使用している状態

●取り付けが簡単なRFIDのラベルを展示

 ラベルなどを取り扱う1885年創業の越後札紙は,各種RFIDタグ付きのラベルを展示した(写真15).EPCに対応したUHF帯RFIDタグや13.56MHz帯RFIDタグ,2.45GHz帯のミューチップなどのラベルを用意する.リール売りの場合,単価は100円程度.そのほか,インクジェット・プリンタを用いて印刷することでICカードが作れるキットなども取り扱っているという.

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[写真15] さまざまなRFIDタグ付きラベル

●RFIDを用いて作業計画の予測精度を向上した作業管理システム

 東芝テックは,RFIDタグ付きのリスト・バンドをリーダにかざすことによって,作業者情報や作業内容などのデータ入力を効率化できる作業管理システムを展示した(写真16).詳細な作業内容などの情報を収集しやすくなる.また本システムは,作業実績データを用いた作業者配置シミュレーションが行える.作業計画の予測精度が向上し,人員コストを削減できるという.

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[写真16] 作業管理システムの外観

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