JASA組込みソフトウェア技術者試験が11月9日からスタート,模擬問題も公開
組込みシステム技術協会(JASA)は,「組込みソフトウェア技術者試験 クラス2(エントリレベル)」を2006年11月9日から開始した.併せて,10問の模擬問題(組込みソフトウェア技術者試験 スキルチェックミニテスト)も公開した.
●2007年3月まで,受験料のキャンペーン価格を設定
組込みソフトウェア技術者試験はCBT(Computer Based Test)を利用しており,試験のスケジュールや会場(全国160カ所以上)は受験者が決定できる.受験の申し込みはインターネットまたはFAX経由で行い,受験日の3日前までに申し込む必要がある.
試験時間は90分.試験問題は選択式(四肢択一)で,問題数は120問.例えば,組み込みシステム開発関連の専門用語の意味を問う問題や,データシート,タイミング・チャート,プログラムの実行履歴を読み取る問題などが出題される.合否判定はなく,点数(スコア)方式の試験結果をその場で確認できる.試験成績を証明するための証明書が,1カ月以内にJASAから発行される.
再受験も可能.ただし,2回目の受験は,1回目の受験日の翌日から数えて30日目以降という制約がある.また,3回目以降の受験は,最後の受験日の翌日から数えて60日目以降より可能となる.
受験料は15,750円.ただし,2007年3月末まではキャンペーン価格となり13,000円(「スタートキャンペーン」のページからキャンペーン価格適用コードを取得する必要がある).また,同じく2007年3月末まで,学生向けの割引制度であるアカデミックチャレンジ制度を用意する.大学院や大学,短期大学,高等専門学校,専門学校などの在学生は9,000円で受験できる(「アカデミックチャレンジ」のページから申し込む必要がある).詳細については,ETEC(Embedded Technology Engineer Certification;組込み技術者試験制度)のWebサイトを参照のこと.
●JASA組込みソフトウェア技術者試験クラス2のレベルは...
以下では,JASAが公開している模擬問題の一部を紹介する(提供はJASA).組込みソフトウェア技術者試験 クラス2の受験者は,こうした四肢択一問題に回答していく.
[模擬問題1]
問題 CISCとRISCに関する記述で,最も適切なものはどれか.
(ア) CISCでは演算処理はレジスタに対してのみ行われるため,データを前もってメモリからレジスタへロードしておかねばならない.
(イ) CISCの命令コードは,基本的には固定長である.
(ウ) RISCはCISCに比べ,基本命令数を減らして,制御系を単純にすることにより性能を上げている.
(エ) RISCの代表的な例として,インテル社の8080ファミリーや8086ファミリーが挙げられる.
正解 (ウ)
CISCは複雑な命令を多数持ち,それを実現する回路も複雑である.一方,RISCは命令数を減らして,制御系を単純にすることによって性能を上げている.CISCとRISCの違いで顕著なことは,RISCは固定長の命令コードであるが,CISCは命令機能に応じて,例えば8,16,32,64ビットなど可変長の命令コード形式を備えていることである.正解は(ウ)である.
ア:RISCの演算処理は,基本的にはレジスタに対して行われるので,処理対象となるデータは前もってメモリからレジスタに読み込んでおかなくてはならない.
エ:RISCの代表例としては,ARM社のARMコア,ルネサステクノロジ社のSHシリーズ,などがあり,CISCのプロセッサ例としては,インテル社の8080/8086ファミリー,モトローラ社(当時)の6800/68000などが挙げられる.
[模擬問題2]
問題 テストやデバッグ関する記述で,最も適切なものはどれか.
(ア) テストは仕様や機能を確認する作業で,デバッグは誤りを発見し修正する作業である.
(イ) 結合テストは,システム全体の機能・性能を検証するテストである.
(ウ) ハードウェアが開発完了するまでソフトウェアのテストは待たなくてはならない.
(エ) JTAG ICEによるデバッグは,ターゲットにMPUをエミュレーションする機器を接続して行う.
正解 (ア)
テストとデバッグは作業内容に違いがあり,(ア)の記述が正しい.テストはバグを見つけるための作業ではなく,仕様や機能を確認するための作業を指す.
イ:結合テストは,モジュールを結合して,全体が正しい機能か否かを検証することであるが,システム全体の機能・性能を検証するのはシステムテストである.
ウ:ターゲットとなるハードウェアが無い場合でも,ソフトウェアの単体テストは,PCなどでシミュレーションしたり,ICEなどによるエミュレーションで可能である.
エ:JTAG ICEは,MPU自身が持つデバッグ機能を利用するものである.ターゲットシステムのMPUの替わりにその機能をエミュレーションしてデバッグする機器はフルICEである.