完走率最大30%の法則? ――LEGOロボット競技 関西大会

組み込みネット編集部

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レポート 2006年9月21日

 2006年9月17日,ラスタホール(兵庫県伊丹市)にて,LEGO MINDSTORMSで作成したロボットの走行タイムを競う競技会「LEGOロボット競技 関西大会」が開催された(写真1)ETロボコン2006に出場したチームを中心とする15チームが参戦し,チーム「猪名寺駅前徒歩1分(三菱電機マイコン機器ソフトウエア)」が優勝した.

 本競技会は,ETロボコン2006で満足な結果を出せなかったチームが無念を晴らすために企画された(通称は「負け犬大会」).競技は,天窓から自然光が差し込む明るいエントランス・ホールで実施されたが,会場の光環境などについての詳細情報が事前に公開されており,完走率はETロボコン2006のときより高くなることが期待されていた.また,当日の競技前に運営スタッフが測定したところ,トレースする黒線と灰色線,白地の明るさが,LEGOロボットの光センサの出力値換算で5ずつ離れていたという(ETロボコン2006のときは,黒線と白地の値が1しか変わらない箇所や,黒線の値が白地よりも白いと認識されてしまう箇所が存在した).

 しかし,多少とはいえ自然光が差し込んでいる環境は,LEGOロボットの走行制御には厳しいものがあったようだ.各チームが2回ずつコースを走行した結果,2回とも完走したチームは「猪名寺駅前徒歩1分」1チームのみ,1回だけ完走したチームは3チームだった.

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[写真1] LEGOロボット競技 関西大会のようす
ラスタホール(兵庫県伊丹市)のエントランス・ホールにて開催された.開放された場所で開催されていたため,通りすがりの親子連れや年配者などが足を止めて見学していた.中には,黒いラインを磁石だと思ったり,ラジコンの走行コンテストだと思っていた見学者もいた

 本競技会は,ETロボコン2006に参加したチーム「あまがさきつうしんぶ」が主催した非公式の大会である.競技内容と競技規約は,ETロボコン2006と同じものを適用した.

●かくして完走率は上がらない

 ETロボコン2006実行委員会 運営委員長であり,各地でLEGO MINDSTORMSロボットによる競技会の運営を担当している小林靖英氏(アフレル 代表取締役社長)によると,競技会の完走率はだいたい一定であり,しかも30%を超えることはまずないという注1.その理由としては,LEGOの光センサの精度がそれほど高くないこと,完全に均一な環境は存在しないことなどに加え,参加者がチャレンジ精神を持っていることが挙げられるという.

 本競技会でも,ETロボコン2006よりも環境が良くなった分,高速走行で走り出してコースアウトしたり,転倒したり,部品が外れてしまったりといったチームが目立った(写真2).また,3チームがZクランクを通過し,4チームが点線ショートカットを走破した.本競技会の完走率は16.7%注2.なお,ETロボコン2006の完走率は14.4%だった.

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[写真2] チーム「FoxTrot」の2回目の走行のようす
高速走行して転倒した

 注1ETロボコン2005 チャンピオンシップ大会では参加した20チームのうちの約半数が2回とも完走しているが,これは例外的なケースにあたるという.ETロボコン2005という大会で選抜された20チームであったこと,また,自然光が入らず,そこそこ明るいという安定した環境だったことが,好結果につながったのだろう.
 注2;ここでは,完走率=(1回目の完走数+2回目の完走数)/(参加チーム数×2)として完走率を算出している.

●意欲的なしかけをかい間見る

 参加した15チームのうちの3チームは,実行プログラムと操作方法を主催者に提供し,代理の人間が操作して走行させる「ゴースト参加」だった.ゴースト参加用の走行体は主催者側が用意した.ETロボコン2006の走行タイムで優勝したチーム「O.R.C.オリンパスソフトウェアテクノロジー)」もゴースト参加したチームの一つ.点線ショートカットを走り抜けた勢いのまま,コースの外側(白地と緑地の境)に沿って走り,そのままコースアウトするという,大胆な走りを見せた.

 準優勝したチーム「新伊丹駅前徒歩5分(三菱電機マイコン機器ソフトウエア)」は,チーム「猪名寺駅前徒歩1分」から派生したチームである.今回の競技会に向けて,猪名寺駅前徒歩1分はETロボコン2006のプログラムを洗練させることに専念した.一方,新伊丹駅前徒歩5分は,ドルフィン・ジャンプやZクランク走破,ゴール後停止(詳しくは,ETロボコン2006競技規約 走行タイムとボーナスタイムを参照)などの新機能を組み込んだ.新伊丹駅前徒歩5分は本番でもこれらの走行に成功し,高得点を得た注3

 注3;チーム「新伊丹駅前徒歩5分」がゴールした後に停止するようすを映した動画はこちら(mov形式,4.23Mバイト)


関連リンク
フォーカス:走行タイムとUMLモデルを競う競技会「ETロボコン」

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