OMGが「組込みスキル標準」に基づいたスキル管理標準の策定に意欲 ――SEC Forum 2006
2006年6月13日,ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)の活動成果を発表する「SEC Forum 2006」において,SECの組み込み系プロジェクトの活動報告と講演が行われた(写真1).2005年度の活動成果の報告のほか,2006年1月~3月にかけて実施された組み込みソフトウェア産業実態調査の結果も報告された.また,Object Management Group(OMG)会長兼CEOのRichard Mark Soley氏が,ETSS(組込みスキル標準)などを基にスキル管理標準をまとめ,ISO(International Organization for Standardization;国際標準化機構)に提案したいと考えていることを明らかにした.
●「新人」の4人に1人は40歳以上
「2006年版 組込みソフトウェア産業実態調査」の報告書によると,組み込みシステム開発に携わっている期間が1年未満の技術者が,前年の調査結果に比べて大幅に増えている(図1).また,その1年未満の技術者のうちの25%以上が40歳以上であるという(図2).
ソフトウェア・エンジニアリング・センター 組込み系プロジェクト サブリーダの田丸 喜一郎氏は,40歳以上の「新人」が多かったことについて,「組織ごと,チームごと組み込みソフトウェア開発に参入した企業が,この1年に多かったからではないか」と分析してみせた.
「組込みソフトウェア産業実態調査」は,経済産業省が2003年度から実施している調査である.2006年版は2006年1月~3月にかけて実施された(ただし技術者個人向けの調査は,2005年11月に開催されたET2005において回収したアンケートの回答を含んでいる).報告書はSECのWebサイトからダウンロードできる.
●スキル管理をMDAで標準化
SECは2006年6月に,組み込みソフトウェア開発に従事する人材を対象とするスキル標準「組込みスキル標準(ETSS)」の「キャリア基準 Version 1.0」と「教育カリキュラム Version 1.0」を公開した(これまで公開していたのはドラフト版).これに関連して,ソフトウェア関連技術の標準化団体であるObject Management GroupのRichard Mark Soley氏が,スキル管理の国際標準化について講演した(写真2).Soley氏は,日本や米国において多くの企業や政府機関がスキル管理標準を必要としていることを説き,同社がETSSやITスキル標準(ITSS),米国労働省のスキル標準などを基に,スキルを管理する枠組みとしての用語定義や管理要素などを標準化し,スキル管理の国際標準としてISOに提案したいと考えていることを明らかにした.
OMGはさまざまなソフトウェア・アーキテクチャを統合する標準化体系として「モデル駆動アーキテクチャ(MDA:Model Driven Architecture)」を提唱している.スキル管理標準も,MDAの概念に含む形で標準化することを想定しているという.
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