ZigBeeの認証テスト,年内にも国内で開始 ――「ZigBee技術の最新動向及び試験規格セミナー」

組み込みネット編集部

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レポート 2005年7月19日

 2005年7月11日,テュフ ラインランド ジャパンは,神奈川県横浜市にある同社のテスト施設にて「ZigBee技術の最新動向及び試験規格セミナー」を開催した.7月12日から同所にて行われる相互接続性の確認のためのイベント「ZigFest」に合わせて,ZigBee Allianceから講師を招き,仕様の概要や認証テストなどについての講演が行われた.なお,ZigBeeの仕様書は2005年6月に公開されたばかりである.

 現在のところ,ZigBeeの認証テストを行う公的機関としては,米国National Technical Systems(NTS)とドイツのTUV Rheinland社の2社がZigBee Allianceの認定を受けている.TUV Rheinland社は,すでに米国でZigBeeの認証テスト・サービスを開始している.日本法人であるテュフ ラインランド ジャパンも本セミナが開催された横浜のテスト施設を使って,2005年内にこのサービスを開始する予定である(写真1)

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[写真1] セミナのようす
写真は,同社アジアグループ取締役副社長のクルト・ハインツ氏.テュフ ラインランド ジャパンは,ワイヤレスLAN(IEEE 802.11a/b/g)について,Wi-Fi Allianceから相互接続性テストのための機関として認定されている.また,Bluetoothについて,ロゴ認証テストを行う公式施設であるBQTF(Bluetooth Qualification Test Facility)に認定されている.Bluetoothの認証の判定を下すことのできるBQB(Bluetooth Qualification Body)も同社に所属している.

●二つの認証テストが設定されている

 ZigBeeでは,アプリケーションごとに定義されるメッセージ(コンフィグレーション用パラメータや設定方法など)を規定する「スタック・プロファイル」が定義されている.同Allianceによって詳細が定義されているプロファイルは,「パブリック・プロファイル」と呼ばれる.現在のところ,家庭内の照明やエアコンなどの制御用プロファイルとして"Home Control"が策定されている.このほか,産業用設備向けおよびセンサ・ネットワーク向けのプロファイルも今後規定していくという.

 ZigBeeに関する認証テストは,大きく二つに分かれる.一つは,スタック・プロファイルが仕様に準拠しているかどうかを確認するための「適合プラットホーム・テスト」である.もう一つは,ロゴ認証テストである.

 適合プラットホーム・テストの対象となるのは,CPUとRF部,およびスタック(ソフトウェア)を搭載したモジュール(ボード)あるいはシステムLSIである.RF部(物理層とMAC)についてはIEEE 802.15.4に準拠していることが前提となるため,事前に自社または試験機関でテストを行い,そのドキュメントを適合プラットホーム・テストを行うテスト機関に提出する必要がある(写真2写真3).なお,2005年4月に,米国CompXs社(現 Integration Associates社),ノルウェーのChipcon社,米国Ember社,米国Freescale Semiconductor社のモジュールが適合プラットホームとして認定されている.

 適合プラットホーム・テストでは,モジュールごとの適合性をチェックする.そのため,例えばRF部とソフトウェアが同じでCPUのみ取り替えた場合,テストし直す必要がある.RF部,ソフトウェアを変更した場合も同様である.

 ZigBeeネットワークでは,コーディネータ(ワイヤレスLANのアクセス・ポイントに相当),ルータ,エンド・デバイスの三つの論理デバイスが存在するが,それぞれの機能を実現するために実装するソフトウェアは異なる.上述したように,ソフトウェアを書き直すと,再度,適合プラットホーム・テストを行う必要がある.しかし,例えばソフトウェアの一部を改訂した場合は,すべてのテストを最初からやり直す必要はない(どのようなテスト・プログラムになるかはテスト機関が決める).例えば,さまざまなZigBeeデバイスに対応するモジュールを開発したい場合,まずフルセットのソフトウェアを実装したモジュールで適合プラットホーム・テストを行い,その後,必要なソフトウェアのみをサブセットとして切り出せば,テストは比較的簡単に済むという.

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[写真2] IEEE 802.15.4 MACテスト
同セミナで行われたTUV Rheinland社と米国Daintree Networks社が共同開発したIEEE 802.15.4のMACテスト装置のデモストレーション.ZigBeeの適合プラットホーム・テストでは,RF部はIEEE 802.15.4に準拠していることが前提となる.

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(a) デモンストレーションのようす

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(a) デモンストレーションのようす

[写真3] ZigBee対応ネットワーク・アナライザ
同セミナで行われたDaintree Networks社のセンサ・ネットワーク・アナライザのデモンストレーション.レシーバ(写真(a)の黒い四角い筐体)がZigBeeモジュールの無線通信のやり取りを受信し,モニタリングする.通信データだけでなく,ネットワーク・トポロジや通信経路なども表示する.

 一方,ロゴ認証は最終製品を対象とするため,ZigBeeの仕様に適合しているのと同時に,ほかのZigBee製品との相互接続性を保証するために実施される.基本的に,最終製品には適合プラットホーム(モジュール)を用いることを推奨している.適合プラットホーム以外のモジュールを用いて最終製品を開発することも可能だが,こうした製品についてはロゴ認証テストの際に適合プラットホーム・テストと同じテストを行う必要があり,コストやテスト期間などの面で不利になるという.

 なお,Home Control用のテスト・プロファイルの仕様は2005年9月に定まる予定.本プロファイルを実装した最終製品のロゴ認証テストが始まるのも,同時期になるもよう.

●費用はテスト機関によって異なる

 パブリック・プロファイルとは別に,「プライベート・プロファイル」の使用も認められている.プライベート・プロファイルは,メーカが独自に策定し,公開の義務もない.そのため,現状ではこうしたプロファイルを実装したモジュールの認証テストを行うことができない.そこで現在,ZigBee Allianceはプライベート・プロファイル用の「ネットワーク適合テスト」仕様を策定している.これは,プライベート・プロファイルを実装した製品がパブリック・プロファイル準拠製品と共存できるか(悪影響を与えないか)を確認するためのものである.

 認証テストとは別に,年に4回「ZigFest」が行われている.ZigFestはZigBee Allianceのメンバが開発中のZigBee製品について,三つの階層(レベル1は物理層とMAC,レベル2はネットワーク層,レベル3はアプリケーション層)に分けて相互接続性を確認し合う.このほか,複数のメーカの複数の製品との接続性を確認するネットワーク・レベルのテストも行われる.ただし,ZigFestは製品の接続性の確認を行うのみで,これによって認証が得られるわけではない.

 認証テストにかかる費用は,各テスト機関が個別に定めている.また,メンバの中でもPromoter(年会費40,000ドル)とParticipant(年会費9,500ドル)の場合はテストにかかる実費だけでよいが,Adopter(年会費3,500ドル)はロゴ登録費として最初の製品については1,000ドル,次の製品からは500ドルずつ支払う必要がある(Promoter,Participant,Adopterはそれぞれ仕様に対する権利が異なる).

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