これぞプロの技,次々と報告される不ぐあいに会場から拍手 ――ソフトウェアテストシンポジウム2005(JaSST'05)

組み込みネット編集部

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レポート 2005年2月 8日

 2005年1月24日~25日,東京コンファレンスセンター・品川(東京都品川区)において「ソフトウェアテストシンポジウム2005(JaSST'05)」が開催された.テスト技術者が聴講者の目の前でアプリケーション・ソフトウェアの不ぐあいを発見していくセッション「テスティング・ライブ」などが行われ,会場の注目を集めていた.

●テスト技術者の一挙一動を会場が見守る

 テスティング・ライブとは,会場でアプリケーション・ソフトウェアのテストを実施し,20分間でいくつの不ぐあいを発見できるかを競うセッションである.テスト対象となるソフトウェアは,テレビのクイズ番組中で使用されている,問題と解答を表示するソフトウェアである.本セッションでは,テレビ局が開発とテストをそれぞれ異なる会社に発注したという想定で,3人のテスト技術者が初めて触れるソフトウェアのブラックボックス・テストを実施した.テスト技術者にはソフトウェアの要求仕様書だけがあらかじめ与えられている.各技術者は用意してきたテスト・ケースをその場で実行し,次々と不ぐあいを報告した(写真1)

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[写真1] テスティング・ライブのようす
不ぐあい入りのソフトウェアを開発したのは,大学と企業の産学連携チーム(写真左)である.テストを実施したのは,企業でソフトウェア・テストの業務に従事しているテスト技術者3人によるチーム(写真右)である.

 テストを開始する前に,3人のテスト技術者はそれぞれ今回のテストの方針を発表した.日本アイ・ビー・エムの太田健一郎氏は,画面状態の遷移に基づいてテスト・ケースを作成し,その中からエラーが発生しやすいテスト・ケースから順番に試していった.NECの野村准一氏は,画面状態とキー操作のマトリックスを作成し,よく使う機能を中心にテストした.ベリサーブの山崎太郎氏は,仕様に明記されていない動作や使用頻度の少ない正常操作などをねらい打ちで,テストを行った.

 最初に不ぐあいが発見されたのは,テスト開始からわずか1分半.「複数のパネルを同時に選択できてしまう」という不ぐあいだった.テスト実施中は,テスト技術者の手もとのディスプレイ画面が大きなスクリーンに映し出されており,聴講者はテスト技術者の作業をじっくりと眺めていた.最終的には,5分の延長時間を含めた25分間で,10個の不ぐあいが発見された(不ぐあいは,あらかじめしこまれたものとその場で見つかったものを含めて16個存在していた).

●風通しの良さが改善活動を支える

 コンサルタントの松原友夫氏は「ソフトウェア温故知新」と題した講演を行い,ソフトウェア開発において"カイゼン"活動を実践するためには風通しの良い環境が必要であると語った(写真2)

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[写真2] 講演するコンサルタントの松原友夫氏(松原コンサルティング)
同氏の日立製作所と日立ソフトウェアエンジニアリングでの経験をもとに,"カイゼン"文化を育てる重要性について語った.

 松原氏は,かつて日立製作所の亀有工場で機械技術者として勤務し,その後,ソフトウェア開発会社(日立ソフトウェアエンジニアリング)の立ち上げにかかわったという経歴を持つ.当時の工場には"カイゼン"の文化がごくあたりまえに根付いており,良いことは自然にまねされて広がっていったという.また,ソフトウェア開発会社の立ち上げのときも,工場で実践していた数値のグラフ化(可視化)のノウハウを持ち込み,図に基づいて考える習慣を社内に広めて,人材を育てていったという.

 "カイゼン"文化はマネージャやリーダの人柄など,微妙な組み合わせの上に成り立つものだが,今までの松原氏の経験によると,何でも自由に意見を言える雰囲気があること(風通しが良いこと)がたいせつだという.そうでない場合,いちばん大きな問題を見つけて,みんなを巻き込んで解決していける雰囲気を作り上げ必要があるという.また,前向きに,自発的に行動することの重要性を訴えた.「いちばんまずいのは,だれかがやってくれないか,と思うこと」(松原氏).

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