組み込みソフトウェアはこう作れ ――『組み込みUML』

長瀬嘉秀

tag: 組み込み

書評 2002年8月 7日

組み込みソフトウェアはこう作れ

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渡辺博之,渡辺政彦,堀松和人,渡守武 和記 著
翔泳社 刊
ISBN:4-7981-0214-8
B5変判
296ページ
2,800円(税別)
2002年6月




 組み込みという分野に範囲を絞った,本格的なUMLによる設計の実践書である.UMLに関する書籍の多くは,UMLの表記の説明であったり,ダイヤグラムを一つずつとり上げて,それだけを解説していることが多い.これに対して,本書はUMLや分析・設計手法だけではなく,開発プロセス(手順)全般について説明している.それも,著者の実際の経験にもとづくベスト・プラクティスを披露している.本来ならばコンサルティング料をもらわないと教えてもらえないことを,惜しげもなく書いてしまっている.

 ここでは,この開発プロセスをeUML(組み込みUML)と名付けている.カバーする範囲は,開発工程,開発フロー,その成果物,そして,チーム構成など多岐にわたる.分野を組み込みに絞っているため,UMLによるモデルだけでなく,アーキテクチャの設計まで踏み込んで説明している.これは,今すぐにUMLを使わない技術者にとっても勉強する価値がある.そこからは,「組み込みソフトウェアはこう作れ」という本書の著者らのメッセージを感じることができる.

 実のところ筆者は,組み込みソフトウェアの開発にはMDA(モデル駆動型アーキテクチャ)によるExecutable UML(旧シュレイア-メラー手法)を使うべきだという持論を持っており,本書の著者らとは異なる立場をとっているのだが,上記のような点において本書は有意義であると考える.

 本書のeUMLは,すぐにでも使える開発プロセスであり,これを教科書にして開発を始めることも可能だ.しかし,開発プロセスは,開発現場や開発するシステムの性格により,カスタマイズできなければならない.このeUMLを読者が理解・習得して,次に自分たちの環境に合わせてカスタマイズしたeUMLを作れると,さらに完全なるシステム開発が行えるであろう.そのときは,ぜひ本書の執筆者にあなたの経験をフィードバックしてあげるとよいだろう.


長瀬嘉秀
アジャイル方法論推進家

組み込みキャッチアップ

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