組み込み分野向けUML「eUML」,年内にドラフト仕様策定へ

組み込みネット編集部

tag: 組み込み

レポート 2001年7月 5日

 システムをモデル化するための表記法であるUML(Unified Modeling Language)を組み込み応用向けにアレンジした「eUML」の仕様策定が進んでいる.渡辺博之氏(オージス総研),堀松和人氏(ソニー),渡守武和記氏(松下電器産業),渡辺政彦氏(キャッツ),萩原裕志氏(キャッツ)など,企業の枠組みを超えた有志が,eUML仕様のドラフトを作成中である.「組み込み分野向けに,UMLの開発者であるスリーアミーゴ(Grady Booch氏,Ivar Jacobson氏,James Rumbaugh氏)と同じような役割を果たしたい」(キャッツの渡辺政彦氏,図1)

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[図1]eUMLメンバの一人,キャッツ(株)副社長の渡辺政彦氏

 同氏らは,現在,組み込み分野に利用できそうな手法を抽出したり,独自の手法を追加するなどし,基本的な方向性を整理している段階である.2001年内をめどにeUMLの統一見解をとりまとめていく.2002年の第1四半期にはeUMLの実践的な使い方をまとめた書籍を発行する計画である.さらに,eUMLの仕様は米国CanyonBlue社のシステム・モデリング・ツール「Konesa」に実装されることが決定しているという.

 UMLは,ソフトウェア開発において,システムの仕様をモデル化する際などに使われる.スリーアミーゴが仕様策定に利用した「統一ソフトウェア開発プロセス」という概念と,その運用方法についてJacobson氏は,「プロセスとは音楽家が演奏会で使う楽譜のようなもの」と語っている.多くのソフトウェア開発者が共通の開発プロセスを使うと,ソフトウェア開発のコストが下がり,開発自体を容易に進めることができるという.開発プロセスを表記する方法として,いくつかの手法が提案されている.それらの手法を一本化することを目指しているのがUMLである.eUMLの活動では,組み込み向けソフトウェアの開発プロセスの共通化を目指している.

 組み込み分野でもUMLを利用したいという要求は高まってきている.しかし,組み込みシステム開発の現場には特有の要求があるため,現在のUMLに従ってモデリングを行うと,いろいろと不都合な点が出てくる.

 現状のUMLを組み込みシステム開発に適用する場合の問題点として,以下のものがあげられる.

(1)開発プロセスが定義されていない
(2)並列性のメカニズムが定義されていない
(3)UMLのビヘイビア記述では,「漏れ」や「抜け」を防止できない
(4)UMLモデルの実装定義がない
(5)UMLモデルの試験定義がない

 これらを考慮して,eUMLでは,以下のことを目標に活動していくという.

(1)開発プロセスの定義
(2)並列メカニズムの定義
(3)UMLビヘイビア記述を補完する
(4)UMLモデル実装を定義する
(5)UMLモデル試験を定義する
(6)モデリングのガイドラインを作成する


組み込みネット編集部 猪之鼻 博隆

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