MUSIC IS POWER ~好きこそ力なり~ ――『JAZZオーディオ「快楽地獄」ガイド』

組み込みネット編集部

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書評 2001年6月26日

MUSIC IS POWER ~好きこそ力なり~

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寺島靖国著
講談社刊
ISBN:4-06-269013-6
19.5cm×13.5cm
339ページ
1,800円(税別)
1998年5月



 寺島靖国.彼は「オーディオの勝利」,つまり「ライブ会場で聴こえる実際の楽器の音よりいい音」の出るときを追求しつづけている.だから,彼は「ライブ会場の擬似再現」などオーディオに求めてはいない.『「生」よりいい音を出したい』.それだけなのである.

 彼は,あるとき,1台約200万円のレイ・オーディオのRM-6VTSSを2台,ほとんど一目惚れ,いや一聴き惚れで買った.あるオーディオ・ファンの家の6Vでギルト・マホネスの『ギルト・マホネス・トリオ』を聴いたとき「ベースが〈ポカッ〉と言」ったからである.しかし,寺島家に来た6Vは〈ポカ〉なんて言わなかった.最初から,そう簡単にはてなづけられなかったのだ.そして,ここから,彼の音への終わりなき挑戦が始まる.

 著者はジャズ喫茶のオーナーである.もちろん大のジャズ・ファンである.そんな彼が,なぜライブよりオーディオに命を賭けるのかはじめは謎であった.私は「JAZZはライブが命」と信じている.気だるい雰囲気の中,耳や肌にアドリブのきいたピアノやドラム,ベースにサックスの音がゾロリと滑り込んでくる,あの空間こそがJAZZなのだと・・・

 しかし,彼の考え方も一理あるなと妙に納得してしまった.なぜか?それは彼の文には力があるから.文章自体もおもしろいが,それよりも「もう,俺は,JAZZが大好きで,音が大好きでしょうがないのっ!!」というのが読んでいてバンバンこっちの気持ちに入ってくるのだ.私はオーディオには疎く,専門用語もさっぱりわからないにもかかわらず,興味津々でページをめくる.次はなに買うの?どんな音を出したいの?

 「好き」パワーは素晴らしいのだ.他人を動かす力があるのだ.寺島氏のパワーは,「超ウルトラ・マニアック・パワー」であり,私の眠っていたJAZZ好きを呼び覚ましてしまった.さらに,この本には自分の知らないJAZZアーティストがたくさん出てきて,それも刺激的だったな.

 ジャズ喫茶オヤジたち曰く「ジャズ・ファンのノリ」と「オーディオ・ファンのノリ」は違うそうだが,それぞれ自分の好きなノリで楽しめる一冊だ.


(と)
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