Metrowerks,3G携帯端末用OS「EPOC」の開発ツールを提供 ――ARM7/9向けにCodeWarrior IDEを開発中

組み込みネット編集部

tag: 組み込み

インタビュー 2001年5月21日

 ソフトウェア開発ツール・ベンダである米国Metrowerks社の社長David Perkins氏とマーケッティング担当副社長John Smolucha氏に,同社の組み込み市場への取り組みと,開発ツール「CodeWarrior IDE」の最新トピックスについての話を聞いた.

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Metrowerks社の社長兼CEOのDavid Perkins氏


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同社Vice President of MarketingのJohn Smoluchan氏

――現在,組み込み市場向けにどのようなCPUやリアルタイムOSをサポートしていますか?

 CPUは,Motorola社のPowerPC,68k,ColdFire,M・Core,およびMIPS,SH-3/4,V800/850(NEC),Intel x86などです.DSPも,Motorola社の56xxxシリーズ,StarCoreに対応しています.主要なリアルタイムOSについては,ほぼ対応しています.ほかにも,Embedded Linuxなどの組み込みLinuxに対応しています.

――ARMへの対応は?

 現在,ARM7/9対応版を開発中です.ARM社の開発ツールとして,すでにCodeWarrior IDEをライセンス供給しています.2001年の第4四半期には,ARM社のRDI(remote debug interface)をサポートしたデバッグ環境を含んだCodeWarrior for ARMを発売する予定です.

――今後のサポート予定について教えてください.

 さきほど話しましたが,ARMのツールにフォーカスしていく予定です.

 具体的には,ARM上で動作する英国Symbian社のPDA向けOS「EPOC」の開発ツールを発表していきます.EPOCは,W-CDMAや3G携帯端末用のOSとして注目されています.来月(2001年6月)にカリフォルニア州San Franciscoで開催される「JavaOne」で,EPOCのアプリケーション開発ツールを発表し,デモを行う予定です.2002年には,同C/C++版を提供できるでしょう.

 このほかEmbedded Linuxのサポートを強化していきます.任天堂のゲームボーイアドバンスをはじめとして,携帯ゲーム機の開発ツールにも興味があります.

――「CodeWarrior for Embedded System」や「CodeWarrior IDE」を普及させるために,どのような活動を行っていますか?

 開発者向けのコンファレンスへの参加やコミュニティとの情報交換を重要視しています.開発の成果を発表したり,発表内容を仕様策定などに反映しています.わたしたちの知る限り,ほかのツール・ベンダではこのようなことは行っていないと思います.

 このほか,セミナの開催や代理店へのテクニカル・サポートを行っています.また,学校関係者向けにアカデミック版の提供を行っています.MIT,ミュンヘン大学,パリ大学,エジンバラ大学など,世界中で1,400以上の大学が採用しています.日本では東京大学も採用しています.

――CodeWarriorに対する組み込み分野のユーザの要求として,どのような声がありますか? 日本のユーザと欧米のユーザとでは違いますか?

 国や地域の違いというよりも,市場によって違いがあります.例えば,コンシューマ・エレクトロニクス分野では,「早く市場に出すためのツールがすぐ欲しい」とか,自動車エレクトロニクス分野では,ボタン一つで操作できるなど「簡単に作れるものが欲しい」といった具合いです.当社のユーザを見ると,コンシューマ・エレクトロニクス分野は日本,自動車エレクトロニクス分野は欧州,ネットコム・インフラ分野は米国が強いようです.ワイヤレス携帯端末は,日・欧がリードしているようです.

 われわれは,米国以外にも日本,スイス,インド,イスラエルなどに開発拠点を持っています.それぞれ,ワールド・ワイドの開発体制で,これらの要求に応えていきます.

――Metrowerks社が組み込み市場に参入した経緯を教えてください

 1985年に,アカデミック市場向けに,モジュラ・コンパイラなどを扱う会社として,Greg Galanos氏が設立しました.そして1994年,Apple社がPowerPCを採用すると決めたとき,われわれは大きなチャンスだと感じました.PowerPCを搭載したMacintosh向けに,アプリケーションの開発ツールを提供していこうと考えたのです.こうして,「CodeWarrior」を開発しました.ひとまず成功を収めたわけですが,さらに成長していくために新しい市場への参入を検討しました.

 UnixやWindowsのソフトウェア開発ツールの世界では,すでに大企業が市場を占めており,新規参入は厳しい状況でした.そこで目をつけたのが,組み込み分野です.当時,組み込み分野は,基本的なツールが堅牢な環境,統合化環境として整備されていませんでした.これは,現在でも言えることです.Wind River社のTornadeでさえ,完全に統合化された環境とはいえないと思います.ツールの環境にもWindowsやMacOSのようなクオリティが必要だと考えています.ソース・ファイルのナビゲーション機能をはじめ,ブラウザ機能,カスタマイズ機能をもつCodeWarrior IDEは,真の統合化環境を実現しているという自信があります.


Metrowerks社のホームぺージ
http://www.metrowerks.com/


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