[ keyword: 電源, 研究開発, エコロジ ]

ロームや京都大学などが産学官のアライアンスを組んで燃料電池の実証実験を開始,災害時の緊急用電源として2015年に商用化へ

 ロームと燃料電池開発ベンチャのアクアフェアリーは,固体水素源を用いた燃料電池の事業化へ向けて,2年間の実証実験を開始する.この実証実験計画について,NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の平成25年度 課題設定型産業技術開発費助成金の申請を行い,2013年5月8日に採択された.

 両社は,京都大学の技術的支援を受けながら,固体水素源型燃料電池の開発を進めている.2012年9月には,従来の携帯用電源と比較して軽量,高効率,長寿命,長期間発電を実現し,環境負荷の少ない水素燃料電池システムを発表している.市場調査を行った結果,数百Wクラスの電源に対する要望が多く,特に日本では災害時などの緊急用電源(医療用,観測機器用,計測器用など)に対する要求が強かったという.そこで,燃料電池を利用した緊急用電源についての実証実験を行うことを決めた.

 今回の実証実験には,京都市,秋田県,三重県,島根県,京都府の各自治体が参加する.災害時の緊急用電源としての有用性,費用対効果,改善点などの洗い出しに協力する.また,燃料ユニットの製造については東洋製罐と東洋エアゾール工業が,短納期試作については京都試作ネット(京都に拠点を置く,ものづくり中小企業96社が加盟する団体)が,デザイン戦略やブランディングについては工業デザイナの秋田 道夫 氏が担当する.

 本燃料電池は,固体水素源として水素化カルシウム(CaH2)を使用する.水素化カルシウムと水を組み合わせると,水素と水酸化カルシウムが生成される.生成された水素と空気中の酸素が発電セルを介して反応し,電気を生成する.京都大学では,副生成物となる水酸化カルシウムをリサイクルする方法なども研究している.

 実証実験で使用する緊急用電源は,燃料電池システムとは別に,外部から充電できる2次電池も搭載する.AC100V出力,DC5V USB出力が可能で,オプションとしてカー・アクセサリなどで使われるDC 12V出力にも対応する予定.また,複数台を連結して大出力化する並列運転機能も備えている.システム全体の定格出力電圧はDC24V±10%,定格出力電力は200W(連続稼働時).1充電当たりの定格出力容量は200Whrで,約2時間の連続稼働が可能.外形寸法は34cm×24cm×24cm,重さは6kg~7kg.

 2013年秋に緊急用電源の試作機を作り,2014年9月1日(防災の日)に各自治体で実証実験を行う計画.商用化は2015年を予定している.



図1 開発中の100W緊急用電源のイメージ

写真1 産学官のアライアンスについて説明したローム 研究開発本部 副本部長の神澤 公 氏

写真2 水素燃料電池システムと緊急用電源について説明したアクアフェアリー 取締役 副社長 CTOの石坂 整 氏

写真3 ロームとアクアフェアリーが開発したスマートフォン電源向け燃料電池

■連絡先
ローム株式会社
TEL: 075-311-2121
E-mail: it_marketing@rohm.co.jp
URL: http://www.rohm.co.jp/

アクアフェアリー株式会社
E-mail: reception@aquafairy.co.jp
URL: http://www.aquafairy.co.jp/

powered by
Digital DesignInterface
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日