Cypress，携帯電話などに使われる周辺コントローラLSIにUSB 3.0ターゲット・コントローラを集積

　米国Cypress Semiconductor社は，携帯電話などに使われる同社の周辺コントローラLSI「West Bridgeシリーズ」のラインナップに，USB 3.0ターゲット・コントローラを搭載した「Benicia（CYWB0263）」を追加した．例えば携帯型ビデオ・カメラにおいて，ハイビジョン・ビデオのデータをUSB 3.0インターフェース経由でパソコンへ転送するような用途で利用できる．ホストとなる組み込みプロセッサに負荷をかけずに，SDカードなどのストレージからパソコンへ直接データを転送可能．

　USB 2.0インターフェースを搭載していた従来の周辺コントローラLSIと比べて，入出力動作スループットは約2倍に向上するという．また，USB 3.0インターフェースでは900mA（USB 2.0の約2倍）の電流を給電できるので，携帯機器のバッテリ充電時間が半減する．

　本周辺コントローラLSIは，（ホスト）プロセッサ・インターフェース回路，ストレージ・インターフェース回路，USBインターフェース回路，アクセス制御用のARM9コアと521KバイトのSRAMを搭載している．ストレージ・インターフェース回路は，SD 3.0，eMMC 4.4，SDIO 3.0に対応したコントローラを2チャネル備えている．USBインターフェース回路は，上述のUSB 3.0ターゲット・コントローラのほか，480MbpsのUSB 2.0 OTG（On-The-Go）に対応したコントローラを備えている．バッテリ充電やアクセサリ検知のための回路（EZ-Dtect）も内蔵する．

　パッケージはウェハ・レベルのCSP（Chip Scale Package）．現在，サンプル出荷中．評価ボードやソフトウェア開発環境の提供も開始した．量産出荷は2011年9月から．また同社は，BeniciaのUSB 3.0ターゲット・コントローラをUSB 2.0ターゲット・コントローラに置き換えたローエンド品「Bay」のサンプル出荷も開始した．

[図1] Beniciaの概要

[写真1] Beniciaの評価ボード