オーバートーン，UML 2.0入力の機能を備えたビヘイビア合成ツールを発売

　オーバートーンは，UML 2.0のクラス図で回路動作を入力できるビヘイビア合成ツール「NSL Core+」を発売した．同社のビヘイビア合成ツールであるNSL Coreに，専用のNSL言語エディタ，UML 2.0入力機能，シミュレータ・リンク機能を追加した．統合開発環境として，オープン・ソースのEclipseを採用している．

　本ビヘイビア合成ツールは，NSL（Next Synthesis Language）という専用言語を使って回路動作を記述する．出力データはRTL（Register Transfer Level）のVerilog HDLおよびVHDL．NSL言語エディタは，予約語の色付け機能やコード補完機能，信号名や変数名を一覧表示するアウトライン機能を備える．UML 2.0入力の機能では，クラス図エディタを使ってシステムの静的な構造を定義すると，ブロック図相当の回路テンプレートが出力される．機能ブロックの内部の動作はNSLで記述する．シミュレータ・リンク機能は，ModelSimおよびIcarusVerilogに対応する．

　Windows XP SP3/Vista/7（XP SP3とVistaは32ビット版のみ，7は32ビット版と64ビット版に対応）が稼働するパソコン上で動作する．推奨システム構成は，クロック周波数が1.3GHz以上のプロセッサ，512Mバイト以上のメモリ，1024ピクセル×768ピクセル以上のディスプレイ，空き容量が512Mバイト以上のハード・ディスク装置，Java5（JRE5，JDK5）以降のJavaランタイム．さらに，機能更新のために，インターネット接続環境が必要になる．

　同社では，本ツール向けのIPコアも提供する予定．例えばFPUやディジタル・フィルタ（IIR，FIR，IDCT/DCT），オーディオCODEC（PCM，FM，PSG，SSG，G.726-ADPCM，MP3），ビデオ変換（インターレース-プログレッシブ変換，YUV-RGB変換，YCbCr-RGB変換），ビデオ処理（同期フレーム・セパレータ，カラー・パレット処理，2次元バイリニア・スケーラ），通信インターフェース（UART，SCI，SPI，10M/100M Ethernet），バス・インターフェース（バス・アービタ，32ビットPCIターゲット/マスタ），メモリ・インターフェース（マルチポート・メモリ，SDR，DDR），暗号回路（CRC16，CRC32，AES128，Triple DES）などを提供するという．また，NSL Core+の機能にNSLコードのデバッグ，およびビヘイビア・シミュレーションの機能を加えた「NSL Overture」という統合開発環境も提供する．2011年春ころに出荷を開始する予定．

[図1] UML 2.0のクラス図エディタ

[図2] オーバートーンのビヘイビア合成ツールを使った開発フロー