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ヴィッツとキャッツが組み込みプラットホームを構築しやすくするための仕組みを共同で発表
ニュース 2008年11月28日
ヴィッツとキャッツは,TOPPERS OSをベースとした組み込みソフトウェア開発プラットホームを構築しやすくするための仕組み(フレームワーク)を共同で発表した.具体的には,TOPPERSプロジェクトが開発を進めているコンポーネント技術「TOPPERS Embedded Component System(TECS)」を利用して任意のソフトウェア部品をつなぎ合わせ,特定の分野向けのソフトウェア・プラットホームを生成できるようにする.プラットホームの具体例として,自動車制御向けの「TOPPERS Automotive Platform」を2009年5月に発表する予定.
TOPPERS Embedded Component System(TECS)とは,組み込みシステムを構成するソフトウェア・モジュールをコンポーネント(部品)として取り扱うための技術である.具体的には,標準化した記述〔TECSのコンポーネント記述言語(CDL;Component Definition Language)〕を用いてコンポーネントのインターフェースやデータ構造を明確に定義し,コンポーネントを静的に生成・結合する.記述したCDLを「TECSジェネレータ」と呼ぶツールで処理することにより,組み合わせたいコンポーネントをひとまとめのC言語ソース・ファイル群として取り扱えるようになる.TECSは現在開発中の技術であり,2009年春ごろにTOPPERSプロジェクトから公開される予定.
今回発表した仕組みの構築に関して,キャッツはコンポーネント間の接続をグラフィカルに設定できるツール「ZIPC Toy!」を開発する.本ツールは同社のツール「ZIPC AUTOSAR」をベースとして開発されており,ソフトウェア部品の接続や配置を支援するほか,パラメータの妥当性を確認する機能を備える.また,TECS対応のCDLを出力できる.ヴィッツは,本ツールを利用して,TOPPERSプロジェクトの既存の成果物であるソフトウェアのCDL記述を作成し,TECSの実用化を進める.
欧州の自動車業界では,車載向けの基盤ソフトウェア仕様やソフトウェア・コンポーネント,インターフェース仕様などを「AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)」という規格としてまとめており,実際の開発に適用しようと計画している企業もある.今回発表されたTOPPERSベースの仕組みは,ツールを整備して,TOPPERSプロジェクトのソフトウェア資産をより利用しやすくすることをねらっている.
[写真1] TOPPERS OSをベースとした今回の仕組みの概要
[写真2] ZIPC Toy! のデモンストレーション
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