Cirrus Logic社，消費電力を約50％減らせるヘッドホン駆動ICとA-D/D-Aコンバータ内蔵の音声処理DSPを発売

　米国Cirrus Logic社は，従来品と比べて約50％消費電力を減らせる携帯機器向けヘッドホン駆動IC「CS42L55」と，A-DコンバータとD-Aコンバータを内蔵した音声処理DSP「CS47048」を発売した．

　CS42L55は，音声入力をヘッドホンに出力するためのCODEC ICである．従来使われているA級/B級アンプと比べて消費電力が小さく，D級アンプより高音質のH級と呼ばれるアンプを内蔵している．H級アンプは2種類の電源供給方式を切り替えることで，音量が小さいときの消費電力を抑えつつ，大音量にも対応できる．本ICの無音再生時の消費電力は5.1mWと低い．これにより，ノイズを抑えながらも視聴時の消費電力を約50％低減できるという．

　また，ヘッドホンを駆動するためには通常ACカップリング用のコンデンサが必要となる．本ICは内部に負電圧を生成するチャージ・ポンプ回路を備えており，グラウンド・センタで信号を出力できる．このため，ACカップリング用のコンデンサが不要となり，実装面積を削減できる．外形寸法は5mm×5mm×0.45mmと小型．サンプリング・レートは最大48kHz．電源電圧は1.8Vもしくは2.5V．1.8Vで使用した場合の1チャネル当たりの出力は17mWで，1Vrms出力が可能．

　CS47048は，入力に多ビットΔ-Σ型A-Dコンバータを4チャネル（ステレオ入力2組分），出力に多ビットΔ-Σ型D-Aコンバータを8チャネル（スピーカ8台分）備えたDSPである．外付けのA-D/D-Aコンバータが不要になるので，オーディオ機器のコストや実装面積を低減できるという．車載オーディオ機器などへの使用を想定している．

　本DSPの入力ダイナミック・レンジは105dBで，THD（Total Harmonic Distortion）は－98dB．出力ダイナミック・レンジは108dBで，THDは－98dB．A-D/D-Aコンバータを内蔵したオーディオ用DSPとしては高性能だという．また，本DSPは最大192kHzに対応したサンプル・レート・コンバータを内蔵しており，DSPがA-DコンバータやD-Aコンバータの性能に影響を受けにくい構成となっている．DSPの動作周波数は最大150MHz．DolbyやDTS，SRS Labs，THXなどのライブラリが用意されている．

[写真1] プレゼンテーションを行うCirrus Logic社 CEO（Chief Executive Officer）のJason Rhode氏

[写真2] CS42L55の外観