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「ソフトウェアテストシンポジウム」が九州に初上陸
ニュース 2007年11月5日
ソフトウェア・テストを行う技術者向けのカンファレンスであるソフトウェアテストシンポジウム(JaSST)が,2007年11月2日に「JaSST'07 Kyushu」として今回初めて九州の福岡SRPセンタービルで開催された.150名を越える参加者を集めた.
基調講演では,デンソー 電子機器事業グループ 電子PF開発室主幹の柴田浩氏が,「車載系システムにおける品質保証のアプローチ」と題した講演を行った.同社は1996年から,ソフトウェアの再利用を徹底することなどを中心に,ソフトウェア開発を抜本的に見直す活動を開始した.開発の初回こそ,開発工数が150%に増加したが,4車種目では再利用率が70%に,開発工数が25%になったという.コードだけでなく,アーキテクチャや考え方,テスト・パターンを含めて再利用したことがこのような結果につながった.また,V字開発モデルの導入にあたり,テストにおいて「合格」,「不合格」のほかに「条件付き合格」(例えば1週間後に再レビュー)を導入し,運用に配慮した.
大分シーイーシーの佐藤 康之氏は,「大分県におけるOSS基盤システムの構築・検証について」と題した講演を行った.オープン・ソース・ソフトウェア(OSS)で構築された大分県庁基盤システムの性能チューニングにおいて,負荷試験が重要だったという話題が取り上げられた.OSSは,一般にデフォルト設定値が小さくなっているケースがある.このような問題はチューニング・ノウハウでカバーでき,負荷試験の実施により発見できると結論付けた.
東陽テクニカの二上貴夫氏は,「組込みソフトウェア品質向上のための実践手法」というテーマで講演した.この講演では,組み込みシステム産業におけるテストの位置付けが語られた.テストと品質は組み込みシステム開発教育の要であり,組み込み機器に対する品質要求が高いという事情を挙げ,組み込みシステム開発手法として「作るたびにテストする,作る前にテストする,ハードウェアと一緒にテストする」というようにテストが重要視されていることなどを紹介した.