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キャッツが研究所のオープン記念セミナを開催,基調講演で形式手法の現状について解説

 組み込みアプリケーション向けのCASEツールを開発・販売するキャッツは,2007年10月19日に新横浜プリンスホテルにて,セミナとZIPCユーザ向けのコンファレンスを開催した.セミナは,CATS先端研究所(CAL:CATS Advanced Laboratory)のオープンを記念して開催した.

 午前中の記念セミナでは,米国SRI International社 Computer Science Laboratory, Program DirectorのJohn Rushby氏が「Opportunity for Industrial Applications of Formal Methods」と題して基調講演を行った.形式検証手法によるソフトウェアの検証を中心とした講演で,モデル・ベースの検証技術の現状について解説した.いわゆる「境界値バグ」の例を挙げ,境界値バグが発生しないように設計モデルのレベルで検証する例を紹介した.また,ソース・コード入力のモデル・チェッカもそろそろ実用的なものが登場しつつあるものの,現状ではコードから離れてモデルをチェックする方が効果が高いのではないか,という意見を述べた.

 CAL顧問で,元防衛大学校教授の渡辺 清氏は「好感数」について講演した.洋風的な美の概念である「黄金比」や和風的な概念の「好感数」を紹介した.富士山や屏風,扇子,能面などの例を挙げ,これらに共通する「好感数」を当てはめた.また,同氏は好感数を用いてCALのロゴ・デザインも行ったという.

 CAL技術顧問の大槻 繁氏は「ソフトウェア経済学のすすめ―価値指向のソフトウェア開発アプローチ―」と題して講演を行った.ソフトウェアの開発見積もりに経済学の概念を導入するという試みを紹介した.現在,ソフトウェアのコスト見積もりは人月の積み上げという形で行うことが多いが,オプション取引で用いるリアル・オプションの算出式を用いたり,プロジェクト成功率をゲーム理論で算出したりすることを提案した.

 午後は,同社のCASEツールである「ZIPC」のユーザ向けコンファレンスが行われた.サクサシステムエンジニアリングの十日市 勉氏による「VoIP製品におけるZIPCの活用とPC上のプロトタイプの有効性」,ネットタッチソフトウェアの須藤 祟氏による「UMLの要求仕様分析からZIPCを使用した状態遷移表でのモデル検証結果」,パナソニックMSEの小林 圭介氏による「Rose-ZIPC++連携による携帯電話アプリケーション開発」などの講演が行われた.


[写真1] SRI International社Computer Science Laboratory, Program DirectorのJohn Rushby氏

■連絡先
キャッツ株式会社
URL: http://www.zipc.com/

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