LSI Logic，H.264とMPEG-2の間のフォーマット変換を実現できるメディア・プロセッサ技術を開発

　米国LSI Logic社は，メディア・プロセッサの新しいアーキテクチャ「Domino[X]」を開発した．同社の従来のアーキテクチャである「DoMiNo」は，MPEG-1，MPEG-2，MPEG-4の圧縮伸張フォーマットに対応していた．Domino[X]では，新たにH.264やVC-1にも対応した．また，H.264データからMPEG-2データへの変換などの異なる圧縮伸張フォーマット間の変換や，HD（high definition）ビデオ信号からSD（standard definition）ビデオ信号へといった異なる解像度間の変換を行える．本アーキテクチャに基づいた，DVDプレーヤやセットトップ・ボックス，デジタル・テレビ向けなどのASSP（application specific standard product）を2007年下期から順次発売する．

　本アーキテクチャは，ビデオ信号処理，オーディオ信号処理，セキュリティ処理，そのほかのアプリケーション処理のそれぞれに対応するプロセッサを備えたマルチ・コア構成となっている．また，DDR2-800（データ転送速度は800Mbps）まで対応できるメモリ・インターフェースを備えている．

　本アーキテクチャでは，一部の処理に対して専用回路（ハード・ワイヤード）を用意することで，処理速度の向上や低消費電力化を図っている．例えば，H.264エンコードの場合，エントロピー符号化（CABAC）や動き補償，デブロッキング・フィルタなどはハード・ワイヤード論理のアクセラレータ回路を用意している．一方，マクロブロック（動き補償の単位）やスライス（符号化の基本単位）レベルより上位層の処理は，ソフトウェアで実現している．本アーキテクチャを用いたセットトップ・ボックスでHDビデオ信号のMPEG-2とH.264の間のフォーマット変換を行う場合，200MHzの動作周波数で実現できるという評価結果が出たという（サイクル精度のシミュレーションによる）．

[写真1] Domino[X]のアーキテクチャ