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エプソン,従来の4~5倍のコントラストを実現する高温ポリシリコンTFT液晶パネル向け無機配向技術を開発
ニュース 2005年5月24日
セイコーエプソンは,高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)向けの無機配向技術「クリスタルクリアファイン」を開発した.本技術を用いると,従来の4~5倍のコントラストを持つ液晶パネルを実現できるという.2006年以降,3LCD方式プロジェクタ用の液晶パネルに本技術を適用していく.
従来,配向膜(基板と液晶の界面に設け,液晶分子を配列するための膜)に用いていた有機材料を無機材料に変えた.有機配向膜の場合,膜を一方向にこすること(ラビング)で液晶分子を配向する.これに対して本技術は,無機材料を分子レベル(数Åオーダ)で制御しながら基板の上に堆積させることで,成膜と当時に配向処理を行う.有機配向膜のように物理的に力を加えて配向する方法と比べて,配向のムラを低減できる.
また,液晶パネルの表示方式として従来はTN(twisted nematic)方式を用いていたが,今回,VA(vertically aligned)方式を採用した.VA方式は,電圧を印加していないときに液晶分子が垂直に並ぶため,光の透過がなく,黒の再現性が向上した.TN方式では,電圧印加(黒表示)時に配向膜付近で液晶が垂直にならず,わずかに光が透過するという.
本技術を用いて試作した液晶パネルを搭載した背面投射型テレビでは,コントラスト比が10,000:1以上になったという.試作した液晶パネルの有効画素数は1920×1080ドット(1080p),画面サイズ(対角)は0.9インチ,画素ピッチは10μm,開口率は52%.
[写真1] 従来の配向処理との比較(液晶パネル断面図)
[写真2] 無機配向処理の概要
[写真3] 試作した背面投射型テレビの映像
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