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TOPPERS,非対称型マルチプロセッサ向けにμITRONベースのRTOSを機能拡張
ニュース 2005年4月18日
TOPPERSプロジェクトは,マルチプロセッサに対応したリアルタイムOS「TOPPERS/FDMPカーネル」を開発した.本カーネルは,μITRON4.0仕様(標準プロファイル)に準拠した同プロジェクトのリアルタイムOS「TOPPERS/JSP」をマルチプロセッサ向けに機能拡張したものである.本カーネルの対象となるアーキテクチャは,共有メモリを備えた非対称型マルチプロセッサである.
従来のOSと互換性を持たせるため,マルチプロセッサ用の新しいAPIは極力追加しない方針で開発した.また,タスクやセマフォ,イベント・フラグなどのオブジェクトの指定も従来と同じように,オブジェクトにID番号を付与することで行う.ただし,IDは32ビットとし,プロセッサ指定用に16ビット,プロジェクト指定用に16ビットを用いる.一つのプロセッサに置かれたタスクが別のプロセッサのプロジェクトにアクセスすることは可能だが,基本的にタスクの移動はない.
TOPPERS/JSPに対応したシングルコア向けのアプリケーションであれば,比較的容易にTOPPERS/FDMPへ移植できる.ただし,排他制御の方法やグローバル変数の配置によっては,大きな変更が必要となるケースもあるという.
現在の対応プロセッサは,米国Altera社のソフト・マクロCPU「Nios II」,米国Xilinx社のソフト・マクロCPU「MicroBlaze」,東芝の32ビット・コンフィギャラブル・プロセッサ「MeP」の3種類.ARMプロセッサについては,今後対応していくという.
2005年5月中に本プロジェクトの会員に対して本カーネルの配布を開始する.会員による検証が行われた後,同年中には一般に公開していきたいという.2005年4月19日現在,本プロジェクトのメンバ企業は77社.
[写真1] TOPPERS/FDMPカーネルにおけるオブジェクトの管理
[写真2] 記者発表のようす(写真は本プロジェクト会長である名古屋大学 教授の高田広章氏)