ルネサス，3チャネルのCANコントローラを内蔵する自動車，産業機器向け32ビット・マイクロコントローラを発売

　ルネサス テクノロジは，3チャネルのCANコントローラを内蔵する自動車，産業機器向け32ビット・マイクロコントローラ「M32C/95」を発売した．本マイクロコントローラは，同社の16ビット/32ビット・マイクロコントローラ・ファミリ「M16C」の最上位品種にあたる．既存のM16Cファミリの最上位品種（M32C/80）が32MHzのシステム・クロックで動作していたのに対して，本マイクロコントローラは64MHzで動作する．

　CPUコアとして，同社が新たに開発した「M32C/90」を搭載する．M32C/90の基本命令数は108．電源電圧は4.2～5.5V，最小命令実行時間は15.6nsである（64MHz動作時）．また，消費電流は標準55mAと低い．

　メモリ容量やパッケージなどの異なる4品種を用意する．M30958FKTG，M30956FKTGPの内蔵フラッシュ・メモリの容量は772Kバイト（このうち，4Kバイトはプログラム実行中に書き換え可能），内蔵RAMの容量は40Kバイト．M30955FJTGP，M30953FJTGPの内蔵フラッシュ・メモリの容量は516Kバイト（このうソ，4Kバイトはプログラム実行中に書き換え可能），内蔵RAMの容量は32Kバイト．パッケージについては，M30958FKTGPとM30955FJTGPが20mm×20mmの144ピンLQFP，M30956FKTGPとM30953FJTGPが14mm×14mmの100ピンLQFPである．パッケージのピン・ピッチは，いずれも0.5mm．

　内蔵するCANコントローラはバージョン2.0B仕様に準拠する．3チャネルのうち，1チャネルは32メッセージ・スロットに，残りの2チャネルは16メッセージ・スロットに対応している．また，本マイクロコントローラの動作中にデバッグを行うための1線式デバッグ・インターフェースを備えている．本インターフェースのデータ転送速度は32Mbpsであり，例えばリアルタイム性が要求されるRAMモニタとして利用できるという．

　このほか，周辺機能として，入力専用1本，入出力用87本または123本の汎用I/Oポート，4チャネルのDMAコントローラ，11本の16ビット・タイマ，7チャネルのシリアルI/O，一つの10ビットA-Dコンバータ，二つのD-Aコンバータ，クロック生成回路，3相インバータ制御回路，X-Y変換回路を内蔵する．動作周囲温度は－40～85℃．

　2005年1月からサンプル出荷を開始する．今後は，－45～125℃の動作周囲温度に対応した品種や，変換速度が1.5μsの逐次変換型12ビットA-Dコンバータを内蔵した品種を製品化する方針．

[写真1] M32C/95の外観（左が144ピンLQFP，右が100ピンLQFP）