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経済産業省,人材評価や企業の技術力評価のものさしとなる組み込みソフトウェアの「スキル標準」を策定へ

 経済産業省は,2005年の春ごろに組み込みソフトウェア技術者のスキルを示す指標「組込みソフトウェアスキル標準 ver.1.0」を公開することを発表した.同省は,2004年10月に設立する「ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)」の事業活動の一環として,スキル標準の策定を進める.このスキル標準は,組み込みソフトウェア技術者の人材評価や企業の技術力の評価,人材育成の基準として活用できるという.また,2005年4月以降に,組み込みシステムやシステムLSIに関するスキル標準の策定にも着手し,2007年3月までに公開する予定.

 IT(information technology)関連サービス(ソフトウェア開発を含む)に関する能力を体系化した指標として,経済産業省が2002年12月に公開した「ITスキル標準」がある.これは,ITサービスに関するスキルの共通の「ものさし」として策定され,同省によると,企業の人材育成や人事評価,政府調達の指標,個人のスキル開発などに活用されているという.今回,策定する組み込みソフトウェアのスキル標準も,ITスキル標準と同様の目的で利用されると同省では見ている.また,すでにITスキル標準を導入している企業などに配慮して,ITスキル標準との対応づけも考慮していくという.

 組み込みソフトウェア開発は対象となる製品分野が広く,また製品分野によって必要なスキルが異なる.また,「製品開発に必要なスキルはその製品についてのノウハウそのものなので,公開しにくい」(組込みソフトウェア開発力強化推進委員会準備会 組込みソフトウェアスキル標準部会 部会長の大原茂之氏)という事情もある.そこで,組み込みソフトウェアのスキル標準では,スキルの概略(フレームワーク)を明示するにとどめ,項目の追加や優先度の決定は,スキル標準の利用者にまかされるもよう.

 組込みソフトウェアスキル標準部会でこれまで検討された内容は,「組込みソフトウェアスキル標準策定方針」として公開されている.経済産業省では,この方針に対する意見を一般から募集している.本件は,2004年6月22日に開催された「組込みソフトウェア開発力強化推進フォーラム」において発表されたが,受講した技術者からは,スキル標準が画一的なものさしとして使われ,そこに盛り込まれない要素が無視されることを危ぐする声が上がっていた.

 組み込みソフトウェア・スキル標準のベースとなっているのは,組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)のワーキング・グループが策定した「SESSAMEスキル標準」である.SESSAMEスキル標準は,技術者や管理者の自主的なスキルアップや教育を目的とした利用を主眼に置いて開発されている.

 SECは,産学官が連携してソフトウェア工学を研究・実用化する拠点として,2004年10月に情報処理推進機構(IPA)内に設立される.品質の高いソフトウェアを開発するための実用的な手法について,調査や研究・開発,普及活動,人材育成などを行う予定.


[図1] 職種ランクの設定例(各企業で,それぞれの項目に対する優先度を決めて計算式を用意すれば,技術者を職種ごとにランクづけできる.出典:『組込みソフトウェアスキル標準策定方針』)


[図2] 製品分野によって異なる要素技術(アプリケーション,ミドルウェア,デバイス・ドライバ,ハードウェアなど)は個々で設定することを提案している(出典:『組込みソフトウェアスキル標準策定方針』)


[図3] 人事・人材管理に関するスキル標準の活用イメージ(出典:『組込みソフトウェアスキル標準策定方針』)

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