[ keyword: LSI ]
Resonext,最大データ転送速度が54Mbpsの802.11aチップセットを発売
ニュース 2002年7月4日
米国Resonext Communications社は,最大データ転送速度が54MbpsのIEEE802.11aチップセット「RN5200ファミリ」を発売した.RF LSIの「RN5205」とベースバンド(MAC層処理も含む)LSIの「RN5201」または「RN5202」から成る.RN5201はクライアント端末用の,RN5202はアクセス・ポイント(無線基地局)用のベースバンドLSIである.
ベースバンドの信号をRF信号に変調する方法として,スーパヘテロダイン方式が広く使われている.スーパヘテロダイン方式は,受信信号をいったん中間周波信号(IF)に変換し,それを増幅してから復調する.動作は安定しているが,回路は複雑で小型化が難しい.そこでRN5205では,ミキサを介して低周波と5GHzの高周波を直接変換するダイレクト・コンバージョン(ゼロIF)方式を採用した.これにより,RF部の回路構成が単純になるため,部品点数を削減できる.ダイレクト・コンバージョン方式を取ると,DCオフセットやフリッカ・ノイズが原因で信号が安定しないという問題がある.同社が開発したDCオフセットの除去技術やIQバランスの補正技術などにより,この問題を解決したという.
さらに,マルチ・パスやノイズ,フェージングなどによって劣化する受信信号の品質を改善するため,ベースバンドLSIには同社の「AccuChannel」という技術を用いている.この技術を適用しないときと比べて,SN比を4dB改善し,かつ,アクセス・ポイントからの通信距離を最大32%向上させたと言う.なお,MAC層の処理は,ARM922T CPUコアとソフトウェアによって実現している.
いずれの製品も0.18μmルールのCMOSプロセスで製造する.RN5205の電源電圧は1.8V,送受信時の消費電力は標準200mW.RN5201のコア電圧は1.8V,I/O電圧は3.3V,消費電力は標準約500mWである.
サンプル出荷はすでに始まっている.量産出荷は,2002年第4四半期に開始する予定.また,IEEE802.11aと802.11bの機能を1チップにしたデュアルバンド・チップセットを同年後半にサンプル出荷する予定である.
[写真1] リファレンス・ボード
[写真2] リファレンス・ボードを用いたデモンストレーション(手前のパソコンの画像をもう一方のパソコンに無線LAN経由で送信している)
■価格 |
■連絡先 |