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松下電器と千住金属,210℃で大気リフローできるスズ亜鉛系の鉛フリーはんだを開発
ニュース 2002年2月8日
松下電器産業と千住金属工業は,210℃で大気リフローできるSnZn(スズ亜鉛)系の鉛フリーはんだ(鉛を含有しないはんだ)を共同で開発した.千住金属工業は,SnZn系(Sn;スズ,Zn;亜鉛)の鉛フリーはんだの開発を,松下電器産業は実装時の特性の検証を行った.
今回の鉛フリーはんだは,SnZnを主成分とする合金に,合金の融点を低くする特徴のあるBi(ビスマス)を添加した.また,常温のときは不活性であるが,リフローの時は活性化するフラックスを開発した.これにより,大気中でリフローできるようになった.また,現行の実装設備をそのまま利用できるという.
これまで実用化されてたSnZn系の鉛フリーはんだは酸化しやすく,窒素中でリフローする必要があり,そのための特殊な炉が使われることが多かった.また,SnAgCu系の鉛フリーはんだは,はんだ実装の温度が230℃~240℃と高いため,部品に対して耐熱対策が必要となる場合があった.いずれも,現行の炉をそのまま利用することは難しいとされている.
松下電器産業は,フラックスの活性特性に応じたリフロー装置の温度制御技術を確立した.また,はんだの濡れ広がり特性を考慮してメタル・マスクを作製する技術などを開発した.今回の鉛フリーはんだの信頼性と実装時の量産性に問題がないことを確認した.
今回の鉛フリーはんだは,2002年中に,まずテレビ製品(BSディジタル・テレビなど)の基板の実装に適用する予定である.サンプル出荷の開始時期は2002年中の予定.
[写真1] SnZn系の鉛フリーはんだの実装写真(大気中リフロー)
[写真2] 従来のSnZn系の鉛フリーはんだの実装写真(窒素中リフロー)
[表1] SnZn鉛フリーはんだの仕様
項目
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仕様
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合金
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組成
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Sn-8Zn-3Bi
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粒径
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25μm~45μm(25μm~36μm対応可能)
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液相温度
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197℃
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固相温度
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190℃
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強度
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84.2MPa
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伸び率
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40%
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フラックス
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含有量
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11.5%
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塩素換算率
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0.03%
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粘度
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200Pa・s(調整可能)
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チクソトロピ
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0.45(調整可能)
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[表2] 各種鉛フリーはんだの特徴
鉛フリーはんだの種類
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開発したSnZnBi
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従来のSnZnBi(窒素)
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SnAgCu
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はんだ付け温度
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低い(210℃)
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低い(210℃)
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高い(230℃)
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はんだ付け雰囲気
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大気リフロー
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窒素リフロー
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大気リフロー
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粘度安定性
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高い
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低い
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高い
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基板の表面処理
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金メッキとフラックス処理(検討中)
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金メッキ処理
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金メッキとフラックス処理
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濡れ広がり性
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悪い
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悪い
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良い
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接続信頼性
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高い
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高い
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非常に高い
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部品への熱影響
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小さい
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小さい
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大きい
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コスト面
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有利
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不利
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不利
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