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松下電器と千住金属,210℃で大気リフローできるスズ亜鉛系の鉛フリーはんだを開発

 松下電器産業と千住金属工業は,210℃で大気リフローできるSnZn(スズ亜鉛)系の鉛フリーはんだ(鉛を含有しないはんだ)を共同で開発した.千住金属工業は,SnZn系(Sn;スズ,Zn;亜鉛)の鉛フリーはんだの開発を,松下電器産業は実装時の特性の検証を行った.

 今回の鉛フリーはんだは,SnZnを主成分とする合金に,合金の融点を低くする特徴のあるBi(ビスマス)を添加した.また,常温のときは不活性であるが,リフローの時は活性化するフラックスを開発した.これにより,大気中でリフローできるようになった.また,現行の実装設備をそのまま利用できるという.

 これまで実用化されてたSnZn系の鉛フリーはんだは酸化しやすく,窒素中でリフローする必要があり,そのための特殊な炉が使われることが多かった.また,SnAgCu系の鉛フリーはんだは,はんだ実装の温度が230℃~240℃と高いため,部品に対して耐熱対策が必要となる場合があった.いずれも,現行の炉をそのまま利用することは難しいとされている.

 松下電器産業は,フラックスの活性特性に応じたリフロー装置の温度制御技術を確立した.また,はんだの濡れ広がり特性を考慮してメタル・マスクを作製する技術などを開発した.今回の鉛フリーはんだの信頼性と実装時の量産性に問題がないことを確認した.

 今回の鉛フリーはんだは,2002年中に,まずテレビ製品(BSディジタル・テレビなど)の基板の実装に適用する予定である.サンプル出荷の開始時期は2002年中の予定.


[写真1] SnZn系の鉛フリーはんだの実装写真(大気中リフロー)


[写真2] 従来のSnZn系の鉛フリーはんだの実装写真(窒素中リフロー)

[表1] SnZn鉛フリーはんだの仕様

項目
仕様
合金
組成
Sn-8Zn-3Bi
粒径
25μm~45μm(25μm~36μm対応可能)
液相温度
197℃
固相温度
190℃
強度
84.2MPa
伸び率
40%
フラックス
含有量
11.5%
塩素換算率
0.03%
粘度
200Pa・s(調整可能)
チクソトロピ
0.45(調整可能)

[表2] 各種鉛フリーはんだの特徴

 
                   
鉛フリーはんだの種類
開発したSnZnBi
従来のSnZnBi(窒素)
SnAgCu
はんだ付け温度
低い(210℃)
低い(210℃)
高い(230℃)
はんだ付け雰囲気
大気リフロー
窒素リフロー
大気リフロー
粘度安定性
高い
低い
高い
基板の表面処理
金メッキとフラックス処理(検討中)
金メッキ処理
金メッキとフラックス処理
濡れ広がり性
悪い
悪い
良い
接続信頼性
高い
高い
非常に高い
部品への熱影響
小さい
小さい
大きい
コスト面
有利
不利
不利

■連絡先
松下電器産業株式会社
TEL: 06-6905-4023
URL: http://www.national.co.jp/

千住金属工業株式会社
TEL: 03-3888-5151
URL: http://www.senju-m.co.jp/

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