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富士通研,90Gbpsの伝送速度に対応した光通信用マルチプレクサICを開発
ニュース 2002年2月7日
富士通研究所は,90Gbpsの伝送速度に対応した光通信用2対1マルチプレクサICを開発した.光信号を多重するWDM(wavelength division multiplexing;波長分割多重)通信に用いられる.
本LSIは,伝送速度の半分の周波数のクロック信号を使うハーフ・レート方式を採用している.クロックの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方のタイミングを利用して回路が動作する.カットオフ周波数(高域遮断周波数)は180GHzである.
従来のマルチプレクサICは,主にフル・レート方式が使われていた.トランジスタに要求されるカットオフ周波数は,伝送速度の4~5倍が必要とされている.このため80Gbpsの通信用ICの開発は難しいと考えられていた.また,ハーフ・レート方式は,フル・レート方式に比べて,回路素子数が少なくて済む.そのため,消費電力も抑えられるという.
本ICの製造では,HEMT(high electron mobility trasistor)技術を採用している.HEMTとは,バンドギャップの異なる異種の半導体材料を用いる電界効果型トランジスタである.その接合面に生じる電子層が通常の半導体より高速に動作することを利用している.0.13μmルールのInPプロセスで製造する.
これとは別に,フル・レート方式を用いた,43Gbpsの伝送速度に対応した4対1のマルチプレクサICも開発した.いずれのICも,2002年2月4日~6日に米国サンフランシスコで開催されたISSCC(International Solid-State Circuits Conference)2002で発表された.
[写真1] 2対1のマルチプレクサICのモジュール構造
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