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昭和電工とNHK技研,りん光発光の高分子を用いた発光効率2.7%~5.7%の有機EL素子を開発
ニュース 2002年1月18日
昭和電工とNHK放送技術研究所は,りん光発光の高分子を用いた有機EL(electro luminescence)素子を開発した.発光効率は赤色が4.6%,緑色が5.9%,青色が2.7%である.りん光発光とは励起状態における発光現象の一つであり,通常では-196℃の低温でしか観察できない.励起状態は分子の磁気的性質により,2種類の状態がある.どちらの励起状態から発光するかにより,りん光発光と蛍光発光に分かれる.今回の有機EL素子は柔軟性のあるフレキシブル・ディスプレィにも応用できるという.
今回の有機EL素子では,電子や正孔を輸送する部分と発光する部分を同時に一つの高分子に組み込んだ.また,常温でりん光発光を実現した.蛍光発光を利用した場合の最大発光効率は5%であるが,蛍光発光とりん光発光の両方を利用した場合は,最大20%の発光効率を期待できるという.発光色は,発光部分の化学構造を制御して変更する.
りん光発光を利用した,低分子を用いた有機EL素子は米国Princeton Universityが開発している.高分子を用いた有機EL素子と比べて発光効率は高いが,柔軟性に乏しく,折り曲げたり,まるめたりする用途には向いていないという.
[図1] 高分子を用いた有機ELの素子構造(NHK技研の資料を元に作成)
[表1] 輝度100cd/㎡における性能
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