最先端のインターネット企業が ハードウェア開発に乗りだした

CQ出版 営業部

tag:

2015年1月21日

ドワンゴがFPGA技術者を本気で募集

● なぜWebエンターテイメント会社がハードウェア開発に乗りだすのか
発想が自由な人を求める
● 年齢は問わない


 株式会社ドワンゴは,ネットワーク・ゲームの開発会社として1997年に設立された.現在はニコニコ動画などのネットワーク・サービスの提供で一般に広く知られており,同社は,株式会社KADOKAWAと経営統合して持ち株会社である「株式会社KADOKAWA・DWANGO」を昨年10月に設立(東証一部上場)して,その傘下企業となった.東京銀座にある歌舞伎座タワー内に本社を置く同社の事業は,ネットワーク・エンタテインメント・コンテンツの企画・開発・運営・サポートを主としている.
 最先端のインターネット企業が,なぜハードウェア技術者を必要としているのか,その真意を同社のプラットフォーム事業本部 副本部長 宮崎 賢一氏にお聞きした.

    

プラットフォーム事業本部 副本部長 宮崎 賢一氏


自分達が欲しいものが世の中にないのなら自分達で作るしかない


 ──ドワンゴといえばバリバリのソフトウェア企業だと思うのですが,なぜハードウェア技術者を採用するのでしょうか?

 宮崎:我々はソフトウェアの会社なので,エンジニアの仕事といえば汎用サーバを用いてデータ・センタを立ち上げ,ソフトウェアでガリガリに回すソリューションを開発するというのが主な仕事になります.しかし,新たな事業展開などで画像を大量に扱うようになると,CPUのリソースを消費するばかりで効率が上がらないという状況になってきました.そこで,画像処理ソフトウェアの一部をハードウェアに置き換えたいと考えました.
 ところが,入手可能なデバイスの多くは家庭用録画機や放送局用機器専用に作られているので,我々の要求に合致するものは存在しません.それなら,自分達で作るしかないということになったのです.外部の開発会社に委託することも考えましたが,買ってきただけでは資産は残りませんし,また外部委託では打ち合わせや仕様の決定に時間がかかり,実際にシステムができ上がるまでのタイムラグが無駄になると判断しました.

 
 ──どのようなハードウェアを開発しますか.

 宮崎:まずは,先に述べたように画像処理用ハードウェアの開発を考えています.放送用の画像処理デバイスは8Kなどの高解像度に対応しているものもあるのですが,チャネル数を既存の放送チャネルに合わせてあるので,数十〜数百までにしか対応していません.我々がやろうと考えているのは誰でも放送局になれることを目指しているので,数千〜数万のチャネルになります.さらに,入力装置はスマートフォンであったり,パソコンであったりとさまざまなので,それぞれ帯域が違うため変換をかけなければなりません.そうなると,一度に処理する数は数万チャネルの何倍にもなります.高解像度である必要はなくても,数多くのチャネルを処理できるデバイスを必要としているのです.

 

最先端を目指し続けるには,ハードウェア開発をやり続ける必要がある


 ──画像処理デバイスの開発が終わったあとはどうされるのですか?

 宮崎:デバイスの開発が終わって,そのままということはあり得ません.ドワンゴは最先端を常に目指しています.そのため現状のシステムに対して常に改善改良が求められます.今後の新規事業を支えていくためには,別の新しいデバイスの開発を拡充される必要があります.


 ──インターネット企業がハードウェアを開発する時代になったんですね.

 宮崎:日本の企業の多くは,これまで高品位で高性能な製品を国内開発し,それを販売して伸びてきたわけです.しかし,近年になると賃金の安い海外に生産工場を移転し,製品開発も海外で行うようになりました.そして国内メーカでは,不採算部門からの撤退,採算が合う部門への異動など,システムLSIを開発するエンジニアにとって能力を発揮できる場所が減っていると思います.
 またASICの開発も,ちょっと前までは何十人という体制で行うのが当たり前でしたが,現在では開発ツールもIPコアが整ってきたので,コア部分の設計に専念すれば比較的少人数でも開発ができる時代になりました.
 そういう意味では我々にもチャンスがあると思います.現状でやりたいことができないエンジニアにとって,個性を発揮できる場所が当社にあります.

 

年齢は問わないが発想の若い人を求めている


 ──どのようなエンジニアを期待していますか?

 宮崎:日本全体で,システムLSIの開発をどんどんやらなくなっているので,技術を持ちながら埋もれている人も多いと思います.そういう人を発掘したいと考えています.
 具体的には,ASICやFPGAの開発経験が3年以上ある方,ゲート・レベルで大規模論理回路の設計・開発を経験された方,ソフトウェアをハードウェアに置き換える開発を経験された方,独自にデバイス・ドライバを作成して実装された経験のある方などです.
 当社のエンジニアは現在400名ほどですが,ほとんどがソフトウェア技術者です.平均年齢は30歳代前半ぐらいで皆若いのですが,我々が求めているASICやFPGAに精通している技術者となれば,ある程度年齢を重ねているので,採用するにあたっては年齢にはこだわっていません.ただし,物事を柔軟に考えられる頭の年齢が若い人じゃないと困ります.それと,大企業では30代後半になると管理職やマネージャになり,スケジュール調整や予算の管理などに追われて手を動かすことが少なくなってくるので,実際に手が動くかどうかも重要です.
 我々が目指しているのは,少人数でリード・タイムを短くして最先端のものを開発することです.具体的には,自分でアルゴリズムを構築できて正確なコードを書ける人が理想ですが,現実にはそこまで求めることは難しいかもしれないので,どちらかに精通していれば数人のチームとして作業を進められるのではないかと考えています.

約400名のエンジニアがワンフロアで開発を行っている
 

 

ドワンゴは社員が自由な発想で働ける会社


 ──これから一緒に働くことになる方への要望をお願いします.

 宮崎:技術の流れは,ハードウェアの時代からソフトウェアの時代へと変化し,今後もその傾向は強まるのかもしれませんが,我々はそれゆえにハードウェアの重要性が増すのではないかと考えています.というのは,アイディア次第で我々にしかできないことがたくさん出てくると思うからです.

 
 ──ドワンゴはどういう社風ですか.

 宮崎:会長の川上は,技術に対して強いこだわりを持っていて面白そうなことを拾い上げる感度が非常に高いです.また会長席もエンジニアと同じフロアで気軽に話せる雰囲気があります.そのため,社員が活発に動いて勝手にやっているのを見ながら面白そうなことを,上層部がうまく拾い上げてプロジェクトを進められる体制になっています.また,失敗しても悪者を探す風土ではないので,社員にとっては自分の意思で自由闊達に動き,自由な発想で働ける会社だと言えます.ぜひとも,能力のある方に集まっていただき,一緒に面白いものを探していけたらと思います.

インタビューにご協力いただいた宮崎氏(中央)とプラットフォーム事業部のエンジニア
左の清水氏は,技術部門の教育・研修・制度構築責任者.右の小嶋氏は,画像配信システムの下位レイヤーの開発を担当

 ──本日はありがとうございました.

 

この記事について


株式会社ドワンゴの採用情報  職種:ハードウェア開発エンジニア(正社員)

人材募集の詳細はこちらのサイトご覧ください
・募集概要  年齢不問,技術経験必要
・職務内容  日本最大級の動画サイトニコニコ動画を中心とした「niconico」を支える配信システム
のハードウェアによる高速化など
・勤務地  東京都中央区銀座4-12-15


 

 

 

 

1  2  »
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日