実務で使えるモデリングをベテラン・エンジニアに学ぶ ―― 20th Open SESSAME Seminar

Tech Village編集部

tag: 組み込み

レポート 2013年1月23日

 2013年1月15日,東実年金会館(東京都中央区)にて,組み込みソフトウェア技術者および管理者を対象としたセミナ「仕事に役立つやさしいモデリング ~ベテランにレビューしてもらお~」が開催された(写真1).主催は組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)

 

写真1 会場のようす

 

 

 本セミナでは,モデル駆動開発やソフトウェア・プロダクト・ライン開発などに取り組む前にまず必要となる,モデリングの概念や導入方法について解説した.また,参加者が作成したモデルを講師がレビューして,モデルの良しあしだけでなく,どのような観点でレビューすればよいのかについても解説した.


●目的と考え方に応じて最適なモデルは変わる

 まず,SESSAMEのメンバである東陽テクニカの二上 貴夫氏が,実務で使われてきたモデリングの歴史や現在の状況について解説した(写真2).現在は,モデリングが世間の注目を集めた時期から少し過ぎた段階であり,モデリングだけで問題を解決できるわけではないが,うまく使えば有用であることも確かであるという.

 

写真2 講演する二上 貴夫氏(SESSAME/東陽テクニカ)

 

 

 ソフトウェアのモデリングは,手続き型プログラミングから構造化分析/設計,オブジェクト指向といった経緯をたどってきた(写真3).特にオブジェクト指向のモデリング記法については,1990年に33種類の記法がそれぞれ提唱されており,それを統一しようと1997年に策定されたのがUML(Unified Modeling Language)である.その後,UML 2.0が策定されて,UML 2.0を使うモデリングとそうでないモデリングにセグメントが分かれたり,システム・レベルのモデリング言語SysMLが登場したりしている.モデリングとしては着実に進歩しているが,なかなか離合集散が止まらない状況だという.

 

写真3 ソフトウェア・モデリングの歴史

 

 

 二上氏は,モデリングの歴史を振り返って「抽象化の階段をいかに上っていくかで苦労し,また成果を出してきた」と述べた.ソフトウェアの世界で多用されてきた「フロー・チャート」は処理の手順をモデリングするものだが,その後に提唱された構造化分析/設計の「データ・フロー図」は,「入力 - 処理 - 出力」という形で機能をモデリングする.また,同じ入力が与えられても現在の状態に応じて結果が変わるものを表現できる「状態マシン」というモデルが登場し,さらには,処理(データ・フロー図)と状態(状態マシン)の両方を考慮するリアルタイム構造化モデルが登場した.そして,オブジェクト指向は,手順や機能ではなく,扱う対象をモデリングしたものである.つまり,何を扱う対象としてどのように分類するかによって,クラスやインスタンスは変わってくるし,それらは目的と考え方に応じて決めればよい,という.

 

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