MISRA C++ワーキング・グループ 議長に聞くコーディング標準の活用法とコード・レビューのポイント
●コード・レビューしやすい状況を整える
ソース・コードの品質を上げるためには,コード・レビューも有効な方法の一つとされている.Tapp氏は,コード・レビューの効率を上げるためにコーディング担当者が心がけるべきポイントについて述べた.
コード・レビューに要する労力は,以下の項目に依存するという.
- 設計書や実装仕様書といった,レビューを補足するドキュメントの品質
- コードの量
- コーディング・スタイル(構造および視覚的な複雑度)
- プログラミング言語そのものの読みやすさ
特に,コーディング・スタイルについては,スペース(空白)や改行の入れ方を工夫するだけで,ずいぶん読みやすくなることを,例を挙げて説明した(写真2,写真3).
写真2 理解しづらいコードの例

写真3 改行とスペース,かっこを使ってコードを理解しやすくした例

また,制御を外部に定義するマクロを使用するとレビューしづらくなるので,マクロの使用は最小限にしたほうがよいという.マクロを使用することによるサイズや速度の最適化というメリットだけでなく,レビューや保守のコストが高まるというデメリットを考慮する必要があると説明した.