ET2011の見どころを山田実行委員長にお聞きする

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キャッチアップ 2011年10月20日

  

ET2011 の見どころを山田実行委員長にお聞きする

 世界最大級の組込み技術専門展示会「Embedded Technology 2011」が,2011年11 月16 日.18 日の3 日間にわたってパシフィコ横浜で開催されます.今年は,前身のツールフェア,MST(MicrocomputerSystem & Tool Fair)から数えて25 年目,そしてET としてパシフィコ横浜で開催されるようになって10年目という記念すべき年であり,主催者も出展社も例年以上に力を入れて準備を進めているといいます.
 ET2011 実行委員会の委員長 山田敏行氏に,今回の見どころをお聞きしました.

 



ET2011 実行委員会 委員長/
横河ディジタルコンピュータ株式会社 エンベデッドプロダクト事業部 事業部長 兼開発センター長 
山田 敏行氏

 

 

今年は25 年間の集大成
── ET2011の「特別な」ところは何でしょうか.
山田:今回のET の特別なところは,大きく三つあります.まず,1987年にツールフェア'87としてスタートしてから25年目,横浜に来て10年目という節目の年ということで,企画にも例年以上に工夫をこらしています.全テクニカルセッションの無料化,ET アワードの公募など,多くの方々に満足していただけることを願っています.例年通り,ET ロボコンも併催します.
 第二は,半導体設計技術の専門展示会であるEDS Fairと初の同時開催を実現したことです.半導体設計の分野では,半導体上にシステムを構築していくインテグレーションの提案が必要になり,ソフトウェア技術との融合が進んでいます.一方,組込みの分野でも,プラットフォームとなる半導体技術との融合が急務です.今や半導体技術とソフトウェア技術はシームレスな関係となっており,双方の技術者が二つの展示会を同時に見られることはたいへん有益だと考えます.
 第三として,現在の日本にとってたいへん切実で具体に取り組んでいかなければならない緊急の課題を注目テーマとして取り上げています.
 


図 25 年にわたるET の変遷

震災を経験した日本が目指すもの
──三つのテーマとは何でしょうか.
山田:「スマートエネルギー」,「機能安全」,「グローバル化」の三つのテーマに注目して,基調講演,カンファレンス,展示などを通じて来場者の方々に有益な情報を提供していきたいと考えています.
 「スマートエネルギー」は,昨年のET2010において特別企画ゾーンとして実施し,たいへんご好評をいただきました.昨年の時点では,どちらかというと将来のための技術という位置付けでしたが,今や日本にとって最重要,緊急の課題となっています.今年も特別企画ゾーンを設置し,セミナーも行います.
 「機能安全」は,ソフトウェアの規模が膨大になってきたことや,応用分野の重要性が増していることから,ここ数年重要な問題として取り上げられてきました.最近では,ソフトウェア品質が社会に与えるインパクトがきわめて大きくなっており,安全を実現するための設計・開発技法を中心として,機能安全と安全システム設計を取り上げていきます.
 「グローバル化」もまた,円高,デフレの急速な進行が止まらず,重要かつ緊急のテーマです.今の日本はまだモノ作りやそのための設計技術が中心で,海外へのモノ作りの委託という形でのグローバル化が先行しています.これからは,海外の部品や基礎技術を組み合わせたプラットフォーム化や,その上でのシステム構築,インテグレーションを進められるように産業構造を変えていくことが必要でしょう.例えば,急速に普及しているAndroidを他のさまざまなネットワーク機器や自動車,家電機器にすばやく展開できるように,役立つ情報を提案していきたいと考えます.

基調講演も「スマートエネルギー」と「機能安全」がテーマ
──基調講演のテーマは何でしょうか.
山田:三つの基調講演を行います.16日の基調講演は,マツダ株式会社の原田靖裕氏による『SKYACTIV テクノロジーの誕生を支えたモデルベース開発』です.ガソリンやディーゼルなどの内燃機関を主体として自動車技術を最大限に磨き上げたことで注目を集めていますが,その原動力となったソフトウェア技術も注目されます.燃費効率の向上を追求した「スマートエネルギー」,安全性を追求した「機能安全」の両面から興味深い講演です.
 17日の基調講演は,東京ガス株式会社の渡辺尚生氏による『スマートエネルギーネットワーク構築に向けた東京ガスの取り組み .電力・熱のネットワークの統合制御による省エネ,省CO2の達成.』です.エネルギーの有効利用や安定供給のためには,電気だけでなく,ガスなどの熱源や自然エネルギーとの協調が重要であり,たいへん期待されます.
 18日の基調講演は,JAXA(宇宙航空研究開発機構)の川口淳一郎氏による『「はやぶさ」-地球帰還までの7年間60億km の運用を支えたものと新たな展開 .あきらめない心がつかんだ成果.』です.2010年の「はやぶさ」帰還を可能にしたのは,とうてい起こらないだろうと思われる事態にまで備えて設計していた機能安全の思想だったといいます.安全を考える上で「想定外」というものはないのだということを知る,重要な講演です.


写真 昨年新設された「スマートエネルギーと組込み技術」ゾーンの様子

見逃せない展示
──「スマートエネルギー」ゾーンの見どころは何でしょうか...
山田:自治体による街づくりのレベルから,家屋,自動車などのシステム,個々の機器のレベルに至るまで,さまざまな展示を企画しています.いくつかを紹介します.
・スマートシティ:横浜市やけいはんな地区における街づくりへの取組みを紹介していきます.
・スマートハウス:横浜市,豊田市,福岡市などで進められている家づくりを中心に紹介します.
・東京ガスのスマートエネルギーネットワーク:基調講演と連動した企画です.
・マツダのSKYACTIV:基調講演と連動した企画です.
・電気自動車の新技術SimDrive:慶應大学出身のベンチャが開発を進めている新技術を紹介します.

ぜひ会場へご来場ねがいます.
 

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ETカンファレンスの事前登録は下記より
http://www.jasa.or.jp/et/ 

 

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