PICマイコンを使って測定ツールを作ってみよう(番外編1) ―― ガイガー・カウンタを作ってみた
●GMT管による計測結果を観測
カソードから出てきた波形をオシロスコープで観測します.1ms/DIV,1V/DIVで,図3のようなパルス列が観測できます.200Hzくらいの周期で,1V少々のパルスがきれいに並んでいます.これは高圧を発生させた時のパルスで,本来の放射線検出ではノイズとなります.パルスの大きさも時間によって変動します.
図3 オシロスコープによるカソード波形観測
時々,高圧発生クロックによるノイズとは同期していない上向きの大きなパルス(3V以上)が発生します.これが放射線です.試しにウラン石やウラン鉱石,ランタンのマントルなどを近づけると,パルスの数が急増します.これを数値的に観測するために,PICマイコン基板を使います.
これまでは,クロックなどの高周波を測定していたので,内部カウンタの設定が高周波用になっています.これを低周波用に変更します.また,いままでは100msでカウントを終了していましたが,パルス数が少ないので,カウント終了は行わずに積算値を表示し続けます.1分ごとにカウンタを読み,前回の読み取り値との差を計算すれば,cpm(count per minute)となります.
BG(バック・グラウンド・ノイズ)を測定したところ,8cpm程度でした.ウラン石で30cpm,ウラン鉱石で38cpmでした.図4に放射線パルスの測定例(フォトカプラを通過した後のパルス)を示します.
図4 オシロスコープによる放射線パルスの測定例
測定値の校正は,今すぐは無理で,時期が来たら放射線源を持っている研究所などに協力していただいて,校正したいと思っています.
現在はこのガイガー・カウンタをユニバーサル基板で作っていますが,今後,プリント基板も作りたいと思っています.また,GMT管は高い(約15,000円)のですが,安価な中国製(J401γ.1500円くらいか?)やロシア製(SBM20.3000円くらいか?)も出てきているようです.回路定数を少し変更する必要があるかもしれませんが,基本的にはそのまま利用できると思います.
なかにし・しろう
(有)NSL