村田製作所が提供する無線LAN用ドライバとサービス

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2010年10月14日

 



村田製作所が提供する
無線LAN用ドライバとサービス

 ET2010に初出展する村田製作所は,無線LANモジュールの提供だけではなく,ドライバや開発支援サービスも提供する.組み込み用無線LAN機器開発の負荷を大幅に軽減させるドライバに関して,その一端を開催前に紹介してもらった.


Wi-Fiドライバ・パッケージと評価キットのセット

執筆
(株)村田製作所
モジュール事業本部 ソリューションサービス部
ソフトウェアソリューション開発課 課長 清水友休
 


 最近Wi-Fiは,どのような組み込み製品に使われているのか

 無線LAN(Wireless LAN)の普及が急速に進んでいます.LANアダプタの無線拡張としてIEEEが802.11シリーズで標準化した無線LANは,通信機器からケーブルを開放しただけではなく,IP(Internet Protocol)網と親和性の高い無線接続手段として,PCとその周辺機器,モバイル機器などのネットワーク化に大きく貢献しています.
 最近では,ゲーム機やPMP(Portable Media Player),MID(Mobile Internet Device)などへの搭載率が増えたことにより,ブロードバンド・ルータに無線LAN搭載のアクセス・ポイントを設置する家庭も増え,無線LANがより身近になってきています.
 

 無線LAN モジュールは小型化と低消費電力化が進んでいます.そのため応用範囲も広がり(図1),センサ・ネットワークを中心としたヘルス・ケア,スマート・エナジ,ディジタル・サイネージ,産業機器,ビル・オートメーションのような新しいアプリケーションへの適用も期待されています.無線LAN モジュールにアクセス・ポイント機能がサポートされるようになったため,3G携帯電話回線を介してインターネットに接続できる3G無線ルータのような製品も出てきています.



図1 進化する無線LAN搭載製品

 

 無線LAN の開発では課題が多い

 無線LANにより利便性が向上し,ユーザ数が増えた一方,無線であるがゆえの課題を意識する方は少ないのではないでしょうか.無線LANは2.4GHz帯,5GHz帯の電波を使用します.電波であるため干渉の問題は避けられず,通信内容を傍受される危険性も潜んでいます.
通信速度が上がらない場合や接続性が悪い場合は,電子レンジのような妨害波の存在や他の無線LAN装置との干渉によることが多いので,干渉の少ない周波数帯やチャネルを選んで回避する必要があります.
 アクセス・ポイントのセキュリティ設定を無効のまま使用していると,悪意のある第三者によってネットワークを利用されたり通信を傍受されたりするので,WPA2(Wi-Fi Protected Access2)などのセキュリティ機能を有効にして利用することをお推めします.セキュリティの設定は初めての方には難しいかもしれませんが,最近ではWPS(Wi-Fi Protected Setup)対応の機器が登場し,ボタンを押すだけでセキュリティなどの自動設定できる機能もあります.

 これまで無線とは無縁だった機器でも無線LAN を搭載するケースが増えています.無線LAN を搭載した製品を開発する際に考慮すべき事項はたくさんあります.ユース・ケースやアプリケーション,通信性能や機能,スペースや重量,形状などの機構設計,消費電流やバッテリの持続時間,無線通信用IC,RF 回路,アンテナなどのハードウェア構成,IC を制御するドライバ,セキュリティ機能を実現するサプリカント・ソフトウェア(注)の選定,電波法やWi-Fi 認証などの認証取得,製品出荷時の検査,開発コストなどがあります.
 これらの課題を容易にクリアするには,ハードウェア面では,無線LAN モジュールを採用することで複雑な設計やチューニングが不要となります.しかしソフトウェア面では, IC ベンダから提供されるリファレンス・ドライバを使う手があるものの,CPUやOSへの合わせ込み,TCP/IPなどのネットワーク・プロトコルおよびサプリカントへの対応,通信性能や消費電流のチューニング,機能追加,評価なども必要になります.その際デバイス・ドライバなどのソフトウェアの知識だけではなく,Wi-Fi規格やICの制御方法,USB,SDIO,SPIなどのインターフェース・ドライバについての専門的知識が必要となります.
 また無線LAN 搭載製品を商品化するには無線通信機器として電波法の認証取得が必須であり,Wi-Fi CERTIFIED のロゴマークを使用するにはWi-Fi認証取得が必要となります.電波法の認証取得では,連続送信モードなど特殊な動作をさせるテスト用ソフトウェアを別途準備する必要もあります.

 (注)IEEE802.1X に準拠した認証を実現するためにクライアント側で必要なソフトウェア,Supplicant

 

 村田製作所の無線LAN モジュールの特徴

 初めて無線開発する場合は,どこから始めたらよいのか戸惑うことも多いのですが,弊社の無線LAN モジュールには,組み込みに必要なソフトウェアと技術サポートが付いているので,安心してお使いいただけます.
 小ロット対応の汎用無線LAN モジュールには,IEEE802.11b/g 対応のLBWA18HLCZ およびLBWA18HEPZとIEEE802.11b/g/n対応のLBEE1DARRC(写真1)(図2)があります.
 LBWA18HLCZおよびLBWA18HEPZは現在までの搭載実績端末が500万台を超えており,実績を重視される方に推奨できるモジュールです.一方LBEE1DARRCは,通信速度が向上したIEEE802.11nに準拠し,アクセス・ポイント・モードやWi-Fi Directといった最新規格に対応しており,高速通信が必要な方や新しい規格や機能を使った製品を積極的に開発される方に推奨したいモジュールです.いずれのモジュールも超小型と低消費電力が特徴です. ここでLBEE1DARRCの主な仕様(表1)を示しておきます.

 



写真1.Wi-Fi モジュールの外観

 

 



図2.LBEE1DARRCのブロック図と構造図

 

 表1 LBEE1DARRCの主な仕様

対応規格

IEEE802.11b/g/n 準拠
Bluetooth ver3.0+HS

サイズ

8.0×7.3×1.1(max)(mm)

消費電流

送信時140mA,受信時85mA(Wi-Fi 使用時)

インターフェース

SDIO 対応

対応OS

 Linux,Android,μ ITRON 対応予定


 

 

 








 

 Wi-Fi ドライバ・パッケージのメリットは設定の簡単さと開発支援サービス

 村田製作所では,より多くの方に無線LAN を気軽に使っていただくため,モジュールの販売だけではなく,モジュール設計,開発,製造,評価を通して培ってきたノウハウを提供し,製品開発時の疑問やトラブル解決のお手伝いをしています.
 無線LAN 搭載の課題の一つであるソフトウェアに対しては,開発期間を大幅に短縮するソリューションとしてWi-Fiドライバパッケージ(図3)を提供しています.CPUやOSを限定することで価格を抑え,I/O ポートやI/F などのハードウェア依存部も簡単に設定できる(図4)ので,ポーティングなどの煩わしい作業を省くことができます.
 



図3.Wi-Fi ドライバパッケージ構成図

 

 



図4.Wi-Fi ドライバパッケージの設定手順

 

 

 もちろん,電波法の認証取得に必要なツール類も標準添付で別途ソフトウェアを準備する必要もありません.Wi-Fi認証取得ではテスト・プランの作成からテスト・ラボでの試験代行(図5)(写真2)まですべてをカバーするサービスを提供しています.またお客様の環境に合わせたポーティング・サービスや開発支援サービスを提供しています.

 



図5.WiFi認証試験実施イメージ

 



写真2.WiFi認証試験実施の風景



 Wi-Fiドライバ・パッケージによる低消費電力の実現

 村田製作所のドライバの特徴として,市場から集まった不具合情報の改善策が盛り込まれている点や,リファレンス・ドライバには無い低消費電力性(図6)や高速通信性能を実現している点があげられます.
 

 



図6.20%~50%の消費電力が削減できる

 

 低消費電力化では,IEEE802.11の標準機能としてパワーセーブ・モードがありますが,さらにドライバで無線LAN の使用状況をモニタし,状況に応じて消費電力を下げる工夫をしています.また,インターフェース・ドライバを含めたソフトウェア構成の見直しや最適化により通信速度の改善も行っています.通信速度を高めることで,システム全体の低消費電力化にも貢献できます.
今後ますます広がる無線LAN搭載機器に対応するため,アクセス・ポイントが無くても無線LAN機器同士が通信できるWi-Fi Directへの対応や,他のネットワークとのルーティングが可能なソリューション,最適化したドライバとミドルウェアの組み合わせによりロースペックなホストCPUでも無線LAN搭載が可能なソリューションなども開発中です.今後順次提供させていただきます.

 ET2010会場では無線LAN モジュールとソフトウェア・ソリューションの展示を予定しています.皆様のご来場を心からお待ちしております.

 

お問い合わせ先
http://www.murata.co.jp/contact/index.html 
または フリーダイヤル 0120-443-015

  

 

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