ET West 2009 見どころ紹介

tag: 組み込み 半導体 Interface

2009年5月25日

これまでの共通テーマ「関西発」,「世界標準」に「活きるハードウェアソフトウェア」,「活かせるエンジニア」,「これぞ組込み」を加え,これまで以上に現場のエンジニアが欲する活きた情報を関西から発信するカンファレンスを目指しています.その構成は,基調講演,パネル・セッション,テクニカル・セッション,コミュニティ・セッション,DSP トラック,FPGA トラック,アナログ・デザイン・トラックから成っています.ここではいくつかの見どころを紹介します.

 

基調講演の見どころ

 基調講演では,テレビCM でもおなじみの「ムラタセイサク君」の従妹である1 輪車型ロボット「ムラタセイコちゃん」の開発秘話とその活用事例を,開発者の一人である村田製作所の吉川浩一氏にお話いただきます.苦労を重ねた開発秘話はエンジニアならば共感できることが多く,また「出前授業」の紹介では子どもたちが科学技術に何を求めているのかが分かります.

 ディジタル家電の雄であるパナソニック顧問の櫛木好明氏には組み込みソフトウェアの将来進むべき道について,よりグローバルな視点でご講演いただきます.エコロジの視点に加え,組み込みシステムの社会への適合性など,今後,組み込みシステムや組み込みシステム・エンジニアが遭遇する課題とその対応についてお話しいただきます.

 いま注目を集めているのは航空宇宙分野です.そこで,JAXA(宇宙航空研究開発機構)執行役長谷川秀雄氏に国際宇宙ステーション計画の状況をお話しいただきます.信頼性・安全性の確保の取り組みは,組み込みシステムの開発においても重要な課題であり,大いに参考になると思います.

 最後に元NTT 執行役員である慶応大学の夏野剛氏に,この10 年で劇的に進化したIT 社会の本質をミクロとマクロの視点から解説していただき,近い将来における日本のケータイ社会のあり方を展望していただきます.「iモード」の生みの親がとらえる「ケータイの未来」は大変に興味深いと思います.

 

 

写真1  昨年のET West における基調講演の様子

 

パネル・セッションの見どころ

 パネル・セッションは二つあります.一つ目はET ロボコン関西地区実行委員会による「ET ロボコンは,組み込みエンジニア育成の特効薬になれるのか?」です.組み込みエンジニア育成が急務とされて久しく,その解のひとつがET ロボコンです.過去の実績(全国で7 回,関西地区で2 回開催)を元に,その教育効果について,教育機会を提供した立場,その教育機会を活用した企業(管理者)の立場,実際に出場した担当者の立場,それぞれの視点で意見を交換します.これからET ロボコンに参加される方々や若手の技術者教育に悩まれている方々には興味深い示唆を与えてくれるでしょう.

 二つ目はモデリング技術です.より高度かつ複雑なシステムを効率的かつ高品質に開発する手法として各種のモデリング技術が注目を集めています.しかし,いざ,現場へ導入する段になるとためらってしまうことが多いようです.そのような方々に,モデリング技術を現場に適用し,成果を上げているエンジニアの生の声をお伝えします.

 
 

テクニカル・セッションの見どころ

 ET West 2009 のテクニカル・セッションは大きく三つに分けられます.

 一つ目のセッションでは,元IT 系エンジニアの視点による組み込みシステム特有の技術的課題へのアプローチを解説します.一般の教科書にはない組み込みソフトウェアのためのC 言語解説,定番であるリアルタイムOS 解説です.どれも初級エンジニア向けの技術解説なので,基礎力を高めたい方々には必聴です.

 二つ目はプロセス系技術解説です.組み込みシステム開発プロセス全般のほか,レビュー技術についても解説します.重要とされつつも実施は難しいレビュー技術を現場で多くの経験をつんだ講師により分かりやすく紹介します.現場への導入を考えているエンジニアの参考になります.

 三つ目はモデル技術解説です.形式手法,状態遷移モデル,モデル駆動開発を,それぞれのエキスパートが解説します.モデル技術の導入の参考になること請け合いで,先のモデリング技術をテーマにしたパネル・セッションと合わせて聴講すると効果的です.

  

コミュニティ・セッションの見どころ

 ET West 2009 では,関西を中心に活動しているコミュニティや注目されるコミュニティの活動状況を発表します.それぞれの取り組みは企業が発信する情報とは一味違ったものであり一聴の価値があります.

 


 

写真2  昨年のET West におけるコミュニティ・セッションの様子

 

展示会場の見どころ

 各ベンダの展示は必見ですが,それ以外の見どころはETロボコン公式コース設置とコミュニティ・ビレッジです.

 ET West 2009 でも昨年同様,ET ロボコン公式コースを設置します.今年は試走会のほか,ET ロボコン関西地区実行委員会による競技会が開催されます.競技会は非公式ながら多くの賞品が用意され,ET ロボコン参加者による熱いバトルが繰り広げられます.

 コミュニティ・ビレッジは,関西地区を中心に活動する技術コミュニティの活動や成果を発表する場です.それではコミュニティ・ビレッジに参加するグループを紹介します .

●組込みシステム技術に関するサマーワークショップ実行委員会

 毎年夏に開催しているワークショップSWEST は,自由な雰囲気で組み込みシステム技術を議論する場です.

●組込みシステム技術に関するサマースクール実行委員会(SSEST)

 学生が主体となって企画・運営するサマー・スクールです.SWEST と日程を連続している開催しています.

●関西ライフハック研究会

 関西を中心としてライフハック(高効率,高生産性を求め,人生のクオリティを高める工夫)をテーマに活動しています.

●名古屋アジャイル勉強会

 名古屋を中心としたアジャイル・プロセスの勉強会です.

●組込みソフトウェア管理者・技術者教育研究会(SESSAME)

 技術者教育に特化したコミュニティです.既に多くの教材を開発し,広く使われています.

●PS(Partner Satisfaction)研究会

 プロジェクトを人間中心にとらえ,個人の能力を引き出す手法を研究しています.

●CE Linux フォーラム

 組み込みLinux の仕様開発・普及推進を行っています.

●ソフトウェア技術者ネットワーク(S-Open)

 ソフトウェア技術者の技術と地位向上を目指して活動しています.

●てふかん(TEF 関西)

 TEF(ソフトウェアテスト技術者フォーラム)の関西在住メンバによる活動です.ソフトウェア・テストをテーマに技術交流を図っています.

●日本Android の会

 Google が提供している携帯電話プラットホームAndroid のユーザ視点での活用について研究しています.

●PFP(Project Facilitation Project)

 プロジェクトにおける潤滑な人間関係を目指し,プロジェクトの成功とともに,「エンジニアとして人生の時間の質」を高める活動を行っています.

●アジャイルプロセス協議会

 日本におけるアジャイル・プロセスの普及推進,情報交換を目的に活動を行っています .

●XPJUG 関西(XP Japan User Group 関西)

 関西を中心に,XP(エクストリーム・プログラミング)の普及推進活動を行っています. 見どころ聴きどころいっぱいのET West 2009 へのご来場をお待ちしています.事前登録は下記まで. http://www.jasa.or.jp/etwest/

 


 

ET West カンファレンス委員長 宿口 雅弘

組み込みキャッチアップ

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