コミュニケーションは一日にしてならず ―― 理想とする姿が同じであれば必ず理解・協力しあえる

組み込みネット編集部

tag: 組み込み

インタビュー 2007年9月14日

 9月14日掲載の組み込み技術解説では,『1+1を10にする「チーム力」養成講座』と題して,キャッツ ソフトウェア技術センター センター長の穴田啓樹氏に記事を執筆いただいた.「チーム開発のリードの仕方」や「プロジェクトへの取り組み姿勢」,「チーム力向上のための取り組み例」などは,プロジェクトの担当者やリーダーが今後,チーム開発をおこなう上での参考になる.しかし,開発現場においては,なかなか予定どおりにチームを編成できたり,プロジェクトを推進できないことも多い.今回,機会を得たので穴田氏に少々泥臭い質問をぶつけてみた.

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[写真1] 穴田啓樹氏(キャッツ ソフトウェア技術センター センター長)

――現在もリーダーとして,プロジェクトをまとめられているそうですね.

穴田氏:はい.記事に書いたのは,これまで2年かけて作り上げてきたチームについての話で,この5月から,新しいプロジェクト・チームを立ち上げている最中です.チーム作りについての記事などを読むと,「これさえ実践すればすぐできる」ように思ってしまいますが,実際にはそういうわけではありません.私自身も「あのプロジェクトも,いろいろなことがあったよな」など,ふり返りながら,焦る気持ちを落ち着かせるときがあります.
 
――穴田さん自身,キャッツへ転職してまだ2年だとか.

穴田氏:35歳で仕事をかえました.前の職場に不満があったわけではありません.実際のところ,いろいろな方に「何か辛いことがあったのか」など心配をかけてしまいました.きっかけは二つありました.一つは,35歳になって人生,半分まで来たのか,残り半分も大切にしたいと思ったこと.もう一つは,自分の価値観を探求し,自分と向き合う機会があったことです.

 自分と向き合う機会というのは,「ビジネスコーチ養成講座」を通してのことです.いろいろな人との関わりの中で踏みとどまっている自分に気づき,そこから一歩踏み出したくなったのです.とはいうものの,現実にはいろいろな問題があり,どうしてよいのかわからなくなりました.そんなときに,起業支援している友人から「自分もそうだった.崖っぷちに立っている気持ちかな.でも,一歩踏み出してみると,続いていた道が見えなかっただけなことに気づいた」というアドバイスをもらい,今にいたります.
 
――リーダーである穴田さんに質問です.文句の多い部下にはどのように接するのでしょうか.

穴田氏:私がそうでした(笑).入社3年目くらいまでは(26歳)毎日のように,先輩に「何でこんなことやるんですか」などと言って,いろいろと迷惑をかけてしまいました.でも,3年目くらいから,不思議なことに,そういう不満がなくなっていきました.仕事の楽しさが分かってきた頃じゃないかと思います.

 文句の多い部下にはどう接するか,でしたよね.私が文句を言っていたのだから,私も言われて当然,ということはあります(笑).でも,文句というのは,受け手の意識としての文句であって,本当に文句なのか考えてみる必要はあると思います.私が気づかないリスクを教えてもらっているのかもしれない.そうであれば貴重な意見なわけだし,まずはニュートラルな立ち位置にいる必要があるでしょう.  

――担当者の立場から質問します.やりたいことを実現するにはどうすればよいのでしょう.

穴田氏:「思考は現実化する」という本を読んだことがあるのですが,経験上,本当だと考えています.つまり,人は意識を集中したところに向かっていく.だからこそ,実現したいイメージを持ち続けることが大切です.

 あと,思いの熱が冷めないうちに,それを誰かに伝え,行動すること.一人で思いを持ち続けるのは結構大変で,それよりは,協力してもらえる人がいる方が続きますよね.今回の寄稿も,いつか「書きたい」と思っていたことを(編集者の)平岡さんと立ち話しているうちに,「書きます!」宣言したことから始まりました.
 
――職場で何か提案しても,ダメだと言われてあきらめてしまう人も多いようです.

穴田氏:頭ごなしに言われると辛いですよね.私にもそういう経験があります.自分では絶対にいいと思って提案したことが,理解されなかった.今,思えば,内容が未熟だったのですが(笑).でも,あるとき,上司から,「本当にやりたかったら,何とかするものだよ」と言われ,非常に強く印象に残っています.途中で諦めてしまうのは,自分の思いがそこまで達していないということです.「やりたい」思いがあれば,あとは課題を一つ一つクリアしていけばよいのですから.実現する人と実現しない人の差はそこにあると思います.実際のところ,その上司は定年前に退職して医大の博士課程に入り,音楽と健康という先進的な研究を行って成果をあげています.
 
――最後に今の仕事のやりがいを教えてください.

穴田氏:私達の開発を取り巻く環境は,どんどん高度に,そして,複雑になっています.その中で,難しいと言われていることを,いろいろな方との関わりの中で,少しずつでも,実現に近づけていくことにやりがいを感じています.


関連リンク:
・技術解説:1+1を10にする「チーム力」養成講座

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