RF MEMSやMEMS加速度センサのデモに人だかり ――第15回マイクロマシン展

組み込みネット編集部

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レポート 2004年11月17日

 2004年11月10日~12日,科学技術館(東京都千代田区)において,マイクロマシン(微小機械)およびナノテクノロジに関する展示会「第15回マイクロマシン展」が開催された(写真1).MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いたスイッチや各種センサの新製品のデモンストレーション,展示などが行われた.例えば,オムロンは静電気を利用してスイッチのON/OFFを行うRFスイッチを展示した.

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[写真1] マイクロマシン展
2004年11月10日~12日,科学技術館(東京都千代田区)にて,第15回マイクロマシン展が開催された.3日間の来場者数は8,213名.

●2007年ごろの実用化に向けてFR MEMSを開発中

 オムロンのブースでは,フロー・センサ(風量センサ)の新製品や開発中のMEMSスイッチの展示に人だかりができていた(写真2).フロー・センサは,風量の微小な変化を電位差に変えて測定するセンサである.

 同社は,2004年度~2006年度の3年間,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けてRFスイッチを開発する.本RFスイッチは,固定電極と可動電極の間に数μmのギャップを設け,静電気によってスイッチをON/OFFさせる.例えば,携帯電話などのアンテナ切り替えスイッチや移相器として利用できる.現在,テスト・チップを用いて信頼性を確認している.挿入損失は最大0.5dB(10GHz時),アイソレーション(スイッチがOFFのときの絶縁ぐあい)は30dBであり,これらの仕様についてはすでに目標値を達成しているという.今後は,ON/OFFの繰り返しに対する耐性を上げることや駆動電圧を下げることが課題となる.最終的な仕様として,開閉回数が10億回以上,外形寸法が1.8mm×1.8mm×1.0mm,駆動電圧が12V以下などを目標に掲げている.

 本RFスイッチは,同社の先端デバイス研究所で開発・製造されている.NEDOのプロジェクトが終了した後は,同社が以前から手がけているファウンドリ事業と組み合わせて,本RFスイッチの事業化に取り組んでいきたいという.

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[写真2] オムロンのブース
NEDOの助成を受けて開発中のMEMSスイッチに人だかりができていた.

 また,同社はMEMSフロー・センサのデモンストレーションを行った(写真3).同社は,MEMS技術を用いて,Si基板上にサーモパイル(熱電対列)とヒータを形成している.測定する風量の範囲に応じて,電位差の増幅量(増幅回路)を調整する.例えば,まもなく発売予定の「形D6F-W」の測定範囲は0~4ml/s(ミリリットル/秒)である.本フロー・センサは風量が弱まるのを検出することを目的に開発されたセンサであり,フィルタの目詰まりの検知などに利用できる.感度を維持するため,ごみと測定する空気が別経路を通るような構造になっている.そのため,ごみが入ってきてもセンサ部分には到達しないという.

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[写真3] MEMSフロー・センサ
「形D6F-W」のデモンストレーションのようす.風量が弱くなると,手前の信号が赤色に変わる.

●取り付け角度を補正する機能を搭載した3軸加速度センサ

 富士通メディアデバイスは,ピエゾ抵抗型の3軸加速度センサ「S2AAシリーズ」のデモンストレーションを行った(写真4).外形寸法は5mm±0.2mm角,厚みは最大2.3mm.動作電圧は3~5.5Vで,測定可能な加速度の範囲は±1.5g.感度は1000±50mV/g.

 0gの場合の出力電圧は電源電圧の1/2(例えば,電源電圧が5Vの場合は2.5V)となる.X軸とY軸のセンサ出力をベクトル合成することで,センサを取り付けた際の角度によって生じるオフセット電圧を補正するようにくふうした.

 2004年10月からサンプル出荷を開始している.2005年第1四半期には量産出荷を開始する予定.

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(a) 3軸MEMS加速度センサのデモンストレーション

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(b) 3軸MEMS加速度センサからの信号

[写真4] ピエゾ抵抗型3軸加速度センサのデモンストレーション
0gのときは2.5Vを指している.センサを回転させると,X軸,Y軸,Z軸の重力加速度の変化がグラフに現れる.

 同社はもともとSAW(surface acoustic wave)フィルタの開発を手がけていたが,最近ではFBAR(film bulk acoustic resonator)も開発しているという.2005年中にはFBARのサンプル出荷を開始するもよう.

●23mm×27.5mmのZigBeeセンサ・ネットワーク対応RFモジュール

 アーズは,外形寸法が23mm×27.5mmと小さいセンサ・ネットワークRFモジュール「Apis Dorsata」を展示した.本RFモジュールは,ノルウェーChipcon社のRFトランシーバIC「CC240」を搭載している.このICは,短距離無線通信規格のIEEE 802.15.4/ZigBee規格に準拠している.使用する周波数帯は2.45GHz.アンテナには太陽誘電のチップ・アンテナを採用した.

 本RFモジュールは,リアルタイム・クロックIC(セイコーインスツル製)を用いて,時間の同期をとっている.これによって,モジュールのスリープ状態やウェイクアップ状態を制御して低消費電力化を図ったり,送受信の時間管理を行うことでセキュリティを向上させているという.本モジュールの消費電流は,スリープ時が22mA,動作時が47mA(標準値)である.

 現在のところ,本RFモジュールの製品化の時期は未定だが,同社は今後もさらなる小型化や低消費電力化を図っていくという.

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[写真5] 無線センサ・ネットワーク用のRFモジュール
アーズの「Apis Dorsata」.IEEE 802.15.4に対応している.

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