●未来の乗り物を体感しよう
さて,愛知万博の楽しみはパビリオン展示だけではありません.会場内を移動する交通手段もいろいろとくふうされています.例えば,長久手会場の南側と北側を結ぶ低公害バス「IMTS(Intelligent Multi-mode Transit System)」は,なんと専用道を無人で,しかも2〜3台で隊列を組んで走っているのです(写真6).
[写真6] IMTS(Intelligent Multi-mode Transit System)
前後の車両間隔を自動的に確保するしくみが組み込まれている.
それではさっそく乗ってみましょう.駅に到着したIMTSをのぞくと,運転席に座っているのはモリゾーです(写真7).助手席にはキッコロが座っています.
[写真7] 運転手はモリゾーだ
イラストだとかわいいのに,ぬいぐるみにするとちょっとブキミなモリゾー.でも,逆にそれが根強い人気のもとになっているのかもしれない.
まもなくアナウンスが流れ,IMTSが走り出しました.速すぎず遅すぎず,安定した乗りごこちです.カーブにさしかかると,モリゾーの前にあるハンドルが(だれもさわっていないのに)かってに回っています.なんだか妙に感心してしまいました(写真8).
[写真8] 自動運転中のIMTS
わたしは,西ゲート駅で乗車し,北ゲート駅へ向かった.IMTSが走る区間は限定されているので,乗りたい方はあらかじめ地図で確認して,どこで乗るかを考えておいたほうがよいだろう.
まもなく,北ゲート駅に到着です.駅から出ると,そこは企業パビリオンゾーンAのまっただ中です.すぐ隣にあるJR東海のパビリオン「超電導リニア館」に思わず目が留まります(写真9).
[写真9] JR東海の超電導リニア館
入り口に展示してあるのは,1997年から2004年にかけて山梨県で走行試験を繰り返していた超電導リニアモータカー「MLX01-1」の実物車両である.
リニアモータカーと言えば,万博会場に来るまでにリニモ(東部丘陵線)にも乗ってきたしなぁ…と思いながら係員の方に聞いてみると,
「あちらは常電導,こちらは超電導です.しくみも速さもまったく違います」
ときっぱり言われてしまいました.磁気で浮上することそのものは同じでも,電磁石の吸引力を利用して車両を8mm浮上させるリニモと,超電導コイルを絶対零度(−273℃)近くまで冷却して強力な電磁石とし,その反発力を利用して10cm近くも浮上する超電導リニアモータカーではまったく違う,というわけです(詳しくは,JRのWebサイト「LINEAR EXPRESS」を参照).
「超電導リニアモータカーは.2003年12月に581km/hを記録していますからね.ここの3Dシアターでは,その迫力を800インチ(縦10m,横18m)の大画面で体感できますよ」
それは体験してみたいです! 幸い,シアター会場の収容人数が多いため,ちょっと並べば次の上演を観られるとのことです.
さて,観た感想は….楽しかったです! 迫力ある立体映像(リニアモータカーの映像のうち,70%は実写だという)と音楽で,すっかり気分が盛り上がってしまいました.みなさまも機会があれば,ぜひお試しください.
●水しか出さない燃料電池バス
さて,長久手会場ばかりでなく,もう一つの会場である瀬戸会場にも行ってみましょう.まずは,会場間シャトル・バス(無料)である燃料電池バス「FCHV(Fuel Cell Hybrid Vehicle)-BUS」で瀬戸会場に向かいます(写真10).
[写真10] 燃料電池バス「FCHV-BUS」
長久手会場のバスの停留所は,北ゲートをくぐってからぐるりと回ったところにある.ちょっと遠いせいか,平日のせいか,わたしが乗ったときには乗客はほとんどいなかった.
車内のディスプレイでは,燃料電池バスについてわかりやすく紹介したアニメーションを流しています.「エンジン音がしなくて静かでしょう?」,「排出するのはCO2ではなく水なので,空気を汚しません」など,地球に優しい乗り物であることを強調していました.
確かに,ほとんど乗客がいない車内は静かでした….
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