●ペットボトルの花壇
みどりの産業は,ペットボトルと雨水を利用して壁面を緑化する「ソーラー花壇」を展示しました(写真10).
[写真10] ソーラー花壇
ずらりと並んだペットボトルの最上段の上には,それぞれに水滴を補給するパイプが設置されている.花は壁面に設置されるが,上に伸びるタイプのものではなく,横に広がるタイプのもの(パンジーなど)を使用する.例えば,渋谷区役所などに導入されている.
ペットボトルをさかさまにして,底になる部分にヤシ素材のフィルタを敷き,花(パンジーなど)の株を入れます.それを壁面に縦に並べ,いちばん上からポタポタと水滴を落とすことにより,水は次々と下のペットボトルに落ちていきます(写真11).ヤシ素材のフィルタが水をろ過するので,濁っていない水が下のペットボトルに落ちていきます.
[写真11] 水の再利用
水は縦に落ちていき,いちばん下で回収される.
いちばん下に落ちたところで水を回収し,またポンプでくみ上げて利用します(写真12).
[写真12] 水やりの自動化
ポンプをマイコンで制御しており,何時間おきに水をやるかなどを設定できる.そのポンプに給電するのがソーラ・システムというわけである.
このシステムは,すでにいくつかの市役所や幼稚園などに導入されているそうです.
「ソーラ・システムは主に市役所に導入されていますね.幼稚園ではポンプは利用せず,水道水を利用しています」
え? それはまた,なぜでしょうか?
「ソーラによるポンプを使えば,雨水も利用できるし,一度流した水もくみ上げることができるんですが,ソーラ・システムの設置にコストがかかるんですよ.民間企業が運営している幼稚園などでは,水道水でいいや,という話になってしまいます」
うーむ.コストとエコの分かれ道,でしょうか….
●雨水だってこんなに利用価値がある
「雨水利用事業者の会」と銘打たれたブースでは,朝日工務店が,少ない力で水をくみ上げられるポンプ「ノーマ」を展示していました(写真13).雨水を放水や洗車,水遊び,非常時の水として利用できます――とのことでしたが,いちばんのねらいは農業用水としての利用だそうです.
[写真13] ノーマの実演
わたしにも軽々と動かせた.キャンプのときの川からの水くみなどにも役立つという.
●手軽な植林のお手伝い
NECは,インターネットの樹を育てて現実の森を創っていく参加型プロジェクト「エコトノハ」の展示を行っていました(写真14).樹木の枝の先をクリックすると,メッセージを添えた葉を作成できます.1日に葉が100枚作成されるごとに,1本分の植林をすることになっているそうです.つまり,みんなの書き込みが集まれば集まるほど,現実の世界に木が増えていく―そんなしくみになっています.
コンセプトだけでなく,「エコトノハ」のWebページの動作もなかなかおもしろかったです.
[写真14] エコトノハのWebページ
おもしろいのは画像だけではない.効果音もほんわりしていて楽しい.
●文化に根ざしたエコロジー
日本文化に根ざしたエコと言えば,やはりふろしきでしょう.使い捨てのビニール袋と違って(まぁ,あれはあれでゴミ袋として便利なのですが),ふろしきは何度でも利用できます.しわくちゃにもならないし,上品な印象もあります.山田繊維は,綿やテラマック(とうもろこしのデンプンを原料にしたポリ乳酸繊維)という自然素材で作ったふろしき,タペストリーなどを展示していました(写真15).
[写真15] テラマックで作られたタペストリー
2004年のカレンダーがあしらってある.もちろん,その年が終わったら,ふろしきとして利用のだろう.
そう言えば,わたしの母親は古いセータをほどいて編み直したり,着れなくなった服の生地を利用して子供服や袋を作ったりしていたことを思い出しました.自分がそれをすることを考えると,「とてもめんどうでやってられない!」と思ってしまいますが,やはり,そんなふうに便利で安易な生活を維持しようとしたら,エコ生活はできないのでしょうか….
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