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 熊谷地方気象台には,電波によって上空の空気の動きを観測する機械「ウィンド・プロファイラ」が設置されています(写真11).地表に設置された何百個のアンテナから,電波(1.3GHz)を天頂方向と天頂から約10度東西南北に傾けて発射し,屈折・散乱して戻ってきた電波の周波数変化を測定して,上空の風向や風速を測定するのだそうです.


[写真11] ウインド・プロファイラ
晴れていれば,高度5,000m程度の空気の動きを観測できる.空気中に水蒸気が多いと電波が吸収されてしまうので,もっと低い高度の動きしか観測できない.ウィンド・プロファイラは全国で31ヵ所に設置されており,関東地方ではほかに勝浦(千葉県)や水戸(茨城県)にある.

「ところで,今年の夏はなぜこんなに暑いのでしょう?」

「主な原因は太平洋高気圧が強く張り出していることですが,それに加えて,東京の臨海地域に高層ビル群が建ったせいで熱が逃げにくくなってしまったのではないか? という仮説があります.それは,これから何年もかけて検証してみないとわからないのですが…」

「今年の暑さは,地球温暖化と関係があるのですか?」

「そうですね.熊谷の1897年以降の年平均気温の推移を5年移動平均で見てみると,だいたい1970年代くらいにかけて,ほぼ一定の傾き(80年で約1℃の傾き)で気温が上昇しています.これが,おそらく地球温暖化の影響ではないかと思われます」

「1980年代から現在にかけては,20数年間で約1℃ほど(年平均気温の5年移動平均が)上がっており,これは都市化の影響が加わっていると思われます.この辺りも,昔はこの気象台の隣にも蚕業試験所がありましたし,桑畑が広がっていたのが,今ではすっかり住宅街ですからね」

 ちょっとだけ話を伺うつもりが,いろいろな設備を見学させてもらい,すっかり長居をしてしまいました.


[写真12] はれるん
気象庁のマスコット・キャラクタ「はれるん」.2004年6月にデビューした.太陽,雲,雨をモチーフとしている.右手に握っているのは,「災害のない調和のとれた地球への祈り」を奏でる緑の指揮棒だそうだ.

 それにしても,「熊谷は暑い」と思っていましたが,原因の一端は東京側(わたしの会社を含めて)にあったのですね.反省しました.

 サマー・タイムの導入や労働時間の短縮を進めれば,多少なりともヒート・アイランド現象を減らすことができるかもしれません.

 って,別に,サボる言い訳ではない(つもり)ですが….

* DATA *
熊谷地方気象台
埼玉県熊谷市桜町1-6-10
JR熊谷駅北口より徒歩25分(バス便あり)
http://www.tokyo-jma.go.jp/home/kumagaya/


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