今月のお茶受け:遠くて近いEurope
【EU Gateway to Japan】
<<コンナトコロニ組み込み技術:第12回>>
「きみもがんばっているみたいだから,そろそろ海外取材に行ってもらおうか」(編集長)
「え,本当ですか? ありがとうございます! では,ヨーロッパに行かせてもらいます! 何と言っても建築や街並みがすてきですよね.それに,音楽の歴史も深いですし,オペラなんかも日本とは比べものにならないくらい安く観られるそうですし…」(志)
「あの…しごとをしに行ってほしいんだけど…」
というわけで,今回はわたくしの大好きなヨーロッパを取材することになりました.とは言え,予算の関係で取材場所は海外ではなく,日本国内のとあるホテル.日本とEU(Europe Union)の貿易を促進するキャンペーン「EU Gateway to Japan」の一環として行われる,情報通信技術分野の展示・商談会の取材です.
会場に足を踏み入れると,いつもとは少し違った雰囲気.置物まで飾られている部屋の中に各社のブースがぐるりと並び,休憩用のいすと机,ドリンク・コーナーなどが用意されています(写真1).
[写真1] EU Gateway to Japanの商談・展示会.こころなしか優雅な雰囲気が漂う?!
●軍隊のハンドヘルド・パソコン
まず目に留まったのは,イギリスHandheld Teck社が展示していた携帯用パソコンです(写真2).キーボードを三つに折りたたみ,ディスプレイをふたのように閉めるとコンパクトに収納できます.
[写真2] キーボードを折りたたんだ状態でも,カーソル・キーなどが使用できる.
パンフレットには「手のひらサイズ」とありますが,わたしの手のひらよりかなり大きいんですけれど…(写真3).
「あ,イギリス人の手のひらサイズなんです.どちらかと言えば,B5サイズのミニノート・パソコンの代わりというように考えていただければ…」
とのことでした.でも,ミニ・ノートというには少し分厚すぎるかもしれません.
[写真3] 手のひらサイズといえばPalmやPocket PCなどのPDAが思い浮かぶが…
このパソコンの特徴は,何と言っても頑丈なこと.対衝撃性,防塵,防水などを重視して作っているそうです(例えば,雨の中でも使えます).もともと,軍隊の携行用に設計したそうです.米国では,軍人が1人1台のパソコンを持ち,情報を共有しながら効果的な戦闘を行う「タクティクス・インターネット」を推進しており,日本の自衛隊でも同様の動きが起こるのではという予想のもとに,出品しているとのことです.
展示していたものは外形だけのモックアップですが,現時点での仕様として,CPUはPentiumタイプの300MHz〜900MHz,メモリは最大2Gバイト,ハード・ディスクは最大20Gバイト,GPS(global positioning system)搭載などを考えているそうです.なお,Handheld Teck社はハンドヘルド・パソコンを販売する会社で,開発自体は設計コンサルタント会社のイギリスSource Product Design社が行っています.
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