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今月のお茶受け:ロングラン・ヒットはこうして作る
【チョロQ EXPO'03】
<<コンナトコロニ組み込み技術:第11回>>

組み込めないネット編集部

 「チョロQの展示会が開催されるんだって!」との情報を入手したのは,まだ寒い2月のころでした.
 「それは行かなくちゃ!」と即座に答えつつ,実はチョロQって何でしたっけ?(確か,おもちゃの自動車だったような…)とは,ちょっと恥ずかしくて聞けないでいる(志)でした.でも,わからないからこそ取材に行くのです.えへん.


 さて会場.入り口にはいきなりまぶしい展示が…(写真1)


[写真1] 赤と白のチョロQが,蛍光板の上に敷き詰められている.

 そして壁には,さまざまな車たちがはり付けられています(写真2).これが全部,チョロQなんですね? 普通の乗用車だけじゃなく,いろいろあるんですね.


[写真2] 壁に描かれた道路の上を,たくさんの「チョロQ」たちが行き交っている.


●デフォルメと動力部分が勝因に

 展示から,いろいろなことがわかりました.
 チョロQは,1980年に発売されたミニカーです.それまでのミニカーは動力がなかった(そうそう,それがわたしの知っている「ミニカー」です!)のですが,タカラはゼンマイを動力として,「チョロチョロ走るキュートなクルマ」,略して「チョロQ」を開発したのでした.
 チョロQの特徴の一つは,実際に存在する車をかわいらしくデフォルメしたという外観です(写真3).「ランボルギーニ カウンタック」などではないごく普通の乗用車をモデルにしたチョロQが,いろいろ取りそろえてあるのです.


[写真3] よく見ると,背中に「cube」や「Bluebird」などの車種名が書いてある.よく特徴をとらえているデフォルメに感心.

 それから,もう一つの大きな特徴は,チョロQの動力部分「プルバック・ゼンマイ(写真4)」.これこそが,少し後ろに引くだけで勢いよく急発進するチョロQの心臓部分です.
 親車とゼンマイを巻く歯車比を1:1.8,親車と車輪を回転させるギア比を1:22に設定してあります.これにより,後ろに引いた距離の12.2倍を前進します.
 電池を使用しないゼンマイ式の動力の開発を始めたのは,1978年.折りしも省エネ気運が高まっていたころだそうです.わたしの知っている最近のおもちゃは,例えばおままごとセットでも「グツグツ」という効果音を添えるだけのためにも電池を使っているものが多いように思います.省エネ気運とは隔世の感があります.


[写真4] プルバック・ゼンマイの完成品(左),分解したもの(右).この動力は,スケール・スピードに換算すると時速約800kmになるという.


●製造工程や歴史を一挙公開

 チョロQの製造工程も展示されていました(写真5).図面を引き,試作品を作り,成型して塗装する.たかがおもちゃ,されどおもちゃ….楽しみながらも真剣に製作に取り組む技術者の顔が見えるようです.


(a) まず,チョロQにしたい車の図面を作る.
(b) 図面をもとに試作品を作る.自動車メーカに試作品を見せて承認をとる.
(c) マスタ型を作る.これをもとに,金型を作る.
(d) 金型にプラスチックを流し込み,成型品を作る.左の写真では,細部を確認するために銀色に塗ってある.
(e) 実際の色で塗装して,完成となる.
[写真5] 製造工程の流れ.

 そのほか,1980年から2003年までに開発された各種チョロQが壁に沿って展示されていました(写真6)


[写真6] 1999〜2003年に作られたチョロQ.フィットやist,フェアレディZなどが並ぶ.


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