今回のお茶受け:ビール作ります,ロケット飛ばします
<<組み込めないインタビュー:第2回>>
組み込みシステム開発の業界でしごとをされている方々に話をうかがい,強引にネタを提供していただく「組み込めないインタビュー」の第2回をお届けします.2番目の犠牲者は,某ソフトウェア開発会社で“自由人”(本人がそう言ってました!)をされている服部博行さん(推定37才)です.
[写真1] 服部博行さん(推定37才)の飛ばした模型ロケット
――服部さんのおしごとの概要を教えてください.
服部 なんでも勝手なことをやっている“自由人”です.会社では,外部の人とお友だちになってくるのがぼくのしごとだと思ってます.組み込み業界のみなさんが集まってくる輪の中に入っていって,いろいろと情報交換をさせていただいています.
――交友関係を広げるコツは何ですか?
服部 例えば,N大学のT先生とのおつきあいが良い例かと思います.もともとぼくがT先生の“追っかけ”をしていたんです.組み込みの分野でしごとをしようと思ったとき,T先生がキーマンだろうと思ったので,先生が参加されている研究会に入りました.いつも情報をもらってばかりだとまずいんで,自分のできることをして,その会に貢献するように努めています.それでだんだん仲良くなって,プライベートで川に行ったり,バーベキューに行ったりするようになりまして.いっしょに行ったうちの会社のメンバもT先生と話ができるようになり,T先生から自然にいろいろなことを教えていただけるようになり…,といった調子です.
ぼくはお酒が好きなんですが,(ここで「おネエちゃんのいるところは得意ではなくて!」と念押し),いい店を見つけたらみんなでいっしょに行ってもらったりするんです.そういうところで飲みながら,自分が楽しんでいることを話します.しごとの話はほとんどしません.
――定番の話題は?
服部 ぼくはけっこう多趣味なので,趣味の話をよくします.それでだいたいぼくがどのようなことをふだんやっているのかを理解してもらっています.
だいたい何でも作ります.人が作れるものはたいてい自分でも作れると思ってまして(笑).例えばビールとかワインとか,それから家具類も作ります.家の中の家具はほとんど自分で作ってます.ラジコンとか,最近はSWEST(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)で模型ロケットを飛ばそうということになっていて,模型ロケットが半分趣味になりつつあります.
――ビールは一から作られるのですか?
服部 最初は「おいしいビールの作りかた」というようなタイトルの本を買って読んだのが始まりです.それから東急ハンズでモルト缶を買ってきて,その本に書いている絵を見ながらどういう原理になっているのかを考えながら機材を作りました.
最初にできたビールは悲惨で,タンクの中に虫がわいてしまいました.2度目からは密閉度を上げたタンクを作ったのですが,今度は掃除がしずらくなりました.今は,掃除がしやすく,密閉度も高いいいタンクを釣具屋で見つけたので,それを使ってます(写真2).
[写真2] ビール作成環境
生き餌用のタンクとおけ,エアロックでビールを作る.
――手間はかかりませんか?
服部 非常に簡単にできます.夏場よりも冬のほうが作りやすいです.衣装ケースの中にお湯を入れて,中に熱帯魚のサーモを入れるんです.それで温度を28度に設定し,その上に30リットルくらい入るタンクを置きます.お湯は一定温度に保たれるので,中で発酵が進みます.
そのビールには名まえも付いてるんですよ.わたしの名まえが服部なので,“ハトワイザー”と言います.ちなみにワインも作るんですけど,ワインは“ハトレーヌーボ”です.ビールは1ヵ月くらい,ワインは2週間くらいでできあがります.
――最近,はまっているものはありますか?
服部 最近は車にはまってます.屋根のあくトヨタMR-Sです.冬であろうと夏であろうと,晴れていたら屋根をあけて乗るというのが今のモットーです.屋根が重要なんです.冬は空気は冷たいんですけど,社内は暖房が効いててそれほど寒くない.それで,頭の上を流れていく凛とした空気が気持ちいい.夏だとただ熱いだけで,体をいじめてるようなものですけど(笑).
あと,今年のゴールデンウィークにはYahoo!オークションで1981年製の中古の原付バイクでスズキGN50というのを購入しました.全部サビを落として,エンジンを分解して,今はようやく乗れる状態になってます.ナンバーも取りました.この原付バイクを直すために,ゴールデンウィークを全部つぶしました.
――家族のみなさんは服部さんの行動をどう見ているのでしょうか.
服部 子どもは娘がふたりいます.男の子だったらそんな構造を調べて,もの作りを経験させてみたいなと思ってるんですが….ただ,女の子でも多少は興味を持ってくれているようなので,そういう父親の姿を見せたりしています.
名探偵コナンのスケートボードにエンジンが付いてるんですよ.それで,ぼくのラジコンのエンジンとスケートボードを持ってきて,一生懸命組み合わせながら,なんとかこれを付けてくれと小学校に入るか入らないかの年の娘に相談されたときには笑いました.さすがにそれは危なすぎるのでダメだ,ということで断りましたけど,その発想をもとにして,もうちょっと何か作ってみたいなとは思ってます.
服部さんは組み込み業界における交友関係を広げているうちにTOPPERSプロジェクトに参加.自動車制御用リアルタイムOS「TOPPERS/OSEKカーネル」の開発にも携わられています.趣味の幅の広さが,しごとや交友関係の幅の広さに反映されているように思えます.
さて,服部さん.次は何を作られるのでしょうか?
というわけで,恒例のプレゼント・コーナーはこちら.
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