●ことばのやりとり,それは戦いだ
こちらは,平原 真氏の作品「コムタイプ」(推薦作品).2台のタイプ・ライタがフラット・ケーブルのような布地(?)でつながれており,文字を入力すると,その文字が自分側から相手側へと1文字ずつ流れていきます(写真7).相手側からやってきたことばは,自分が発したことばとぶつかりあい,火花となって消えていきます.
見ていて,とても不思議な気持ちにさせられる作品でした.自分の発したことばと相手の発したことばが関係しあい,影響しあうようすを視覚化したように思えます.会話とはことばの交換であり,また戦いである.そんなフレーズが頭をよぎります.
[写真7] コムタイプ.
●ここから「見える」Webサイト
さてこちらは,ぐっとおなじみ感のあるノート・パソコンが展示されています(写真8).杉浦 聡氏の作品で,その名も「東京ローカルWeb景」(推薦作品).新宿にある東京都庁の展望室から撮った映像を表示し,マウス・カーソルが合っている映像上に存在する,企業や団体のホーム・ページの画面が自動的に表示されます(写真9).
ノート・パソコン自体が回転する台に載せてあり,パソコンを回転させたりディスプレイの角度を変えたりすると,映像もそれに応じてスクロールします.しかけは簡単,ノート・パソコンのディスプレイの背面に,3方向の向き(上下/左右/傾き)を検知する3軸方位角センサが取り付けてあるのです(写真10).
これは,そのままビルの展望室や山頂からの風景の説明に応用できそうですね.言われてみれば「なるほど」と思う,アイディアの勝利でしょう.
[写真8] 東京ローカルWeb景.
[写真9] マウス・カーソルが合っている場所に存在する団体のホーム・ページが,風景の映像上に表示される.
[写真10] 背面には,米国MicroStrain社の3軸方位角センサ「3DM」が取り付けてある.
●カチ,コチ,笑顔のリレー
続いては,ビジネス・アーキテクツとワンスカイの作品「カムカムタイム(CAM CAM TIME)」(優秀賞)です(写真11).これは常時接続環境でのみ利用できる,ブロードバンド上のスクリーン・セーバです.1秒ごとに1人ずつの名前とビデオ映像が割り当てられています.カムカムタイムにはだれでも参加できるしくみになっています.自分の撮った映像をサーバにアップロードするだけです(なお,カムカムタイムのサービスは,2003年3月28日を持って終了するという).
見ていると,どんどん笑顔がリレーされていきます.もし自分のパソコンに入っていたら,なかなか楽しいのではないかと思いました.
ちなみに,この作品の発注元はソニーだということです.そう言われてみれば,ソニーらしい作品のような(?)気がしますね.
[写真11] 登録できる上限人数は,24時間×60分×60秒=86,400人.