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今月のお茶受け:逃避のはてに見つけたものは…
【メディア芸術祭】
<<コンナトコロニ組み込み技術:第10回>>

組み込めないネット編集部


「…行ってきまーす」

 山積みになったしごと(現実)から逃避するように,わたしは編集部を抜け出しました.あれも急ぎだし,これも今週中に終わらせなきゃいけないし,etc,etc.はぁ.
 とりあえず今日の目的地は,恵比寿ガーデン・プレイス,じゃなかった,そのすぐ近くにある東京都写真美術館です.文化庁が毎年主催しているメディア芸術作品の表彰の場「メディア芸術祭」の,平成14年度の受賞作品や推薦作品が展示されているとの情報を得たからです.

 メディア芸術祭は,デジタルアート[インタラクティブ]部門,デジタルアート[ノンインタラクティブ]部門(CGなど),アニメーション部門,マンガ部門の4部門について,この1年間に制作/発表された作品を募り,それぞれ大賞や優秀賞,奨励賞などを選出しています(応募期間は8月〜10月だそうです.平成15年度の募集に応募してみようと思う方は要チェック!!).今回は,デジタルアート[インタラクティブ]部門を中心に取材する予定です.

 さて到着しました(写真1).合計1,375作品(うちデジタルアート[インタラクティブ]部門は539作品)の中から選び抜かれた大賞1点,優秀賞5点,奨励賞1点,そしてその他の推薦作品…….いったいどのような作品が出ているのか,期待がふくらみます.


[写真1] メディア芸術祭 受賞作品の展示会場.


●社会問題を解決する携帯電話?

 さて,デジタルアート[インタラクティブ]部門でみごと大賞を受賞したのは,Crispin Jones with IDEOの作品「ソシアル モバイルズ(Social Mobiles,略称SoMo)」です(写真2).これは,異なる機能を持つ携帯電話(SoMo)5台から構成されており,現在の携帯電話が引き起こしている社会的混乱を解消すべく,アレンジされているとのことです.


[写真2] SoMo1からSoMo5までの5種類が用意されている.

 例えば,通話相手に電気ショックを送ることができる携帯電話があります(SoMo1).また,迷惑な通話をしている他人などに対して,パチンコ玉をぶつけるような感覚で,「パチン!」とダメージを与えることができるものもあります(SoMo5,写真3).さらには,電話をかけるとき,電話番号を楽器のように演奏しなければならないものもあります(SoMo3,写真4).実際に音が出るので,その場所が電話をかけるのにふさわしい場所かどうかがわかるというメリットもあるそうです.



[写真3] 通話している他人にダメージを与えることができるSoMo5.

[写真4] 電話をかけるときには,楽器のように演奏しなければならないSoMo3.演奏した音は周囲に聞こえる.


 社会問題化している携帯電話の利用マナーをおもしろく作品にしている,という点が評価されたようですが,現物はガラス・ケースの中.内容はコンセプトのみ,ということで,わたしとしてはイマイチ楽しみきれない感じが残りました.


●W...W...Water!

 さて次は,柴田知司氏の作品「タイプ アール」(優秀賞).なにやら黒い直方体と,壁に大きく映し出された聖書?の文字.いったい何だろう? と思って黒い直方体の上からのぞき込んでみると,そこには水がたたえられ,水面に文字が映し出されています(写真5)
 パンフレットを見ると,何やら水に触れてみろ,と書いてあるので,おそるおそる指を出すと……冷たいっ! 本物の水でした.また,触れたあたりから四角形が波紋のように広がり,そしてさらに水面に文字が浮かび上がります.


[写真5] 作品の水面に触れてみると….
(画像にマウスを合わせてみてください)

 水の冷たさが妙に新鮮です.気分はまるでヘレン・ケラー.


●これは…何?

 和気ゆか氏と古橋太海氏の作品「クローク」(推薦作品).手前に横たわる人形の頭のボタンを押すたびに,正面奥に飾られた白い模型を照らす照明が変わり,模様が変わります(写真6).目にも鮮やかですが…いったいこれは何なのでしょう.説明は特になく,疑問を残したままその場を離れました.


[写真6] クロークとは「マント」,「おおい隠すもの」といった意味だが….

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