今月のお茶受け:なにもしないぜいたく
<<『ほな,茶ぁしばこ』プレゼント付き>>
今回目指すは,某N社のマイコン関連子会社があるという矢向(「やこう」と読む).川崎駅で南武線に乗り換えて二駅目.川崎駅のホームで電車を待っていた私はあることに気がつく.「財布の中に2千円しか入っていない!」.やばい,銀行でお金を下ろしてこなければ….財布の中を満タンにして,さぁ,いざ矢向へ.しかし,またあることに気がつく.「あっ,イオカードで入ってしまった!」.イオカードとは,自動改札機を通れるJR東日本発行のプリペイド・カードのことだ.なぜ,そんなことに私は動揺したのか? それは,ある同僚のことばがあったからである.
彼は言った.「矢向って,ほんとになんにもないところだよ.東京とは思えないくらい」.そのことばを聞いたとき,私の脳裏にはだだっ広い野っ原とぺんぺん草が風にそよぐ光景が広がった.だから思ったのだ.「矢向には銀行なんてないだろうし,ましてや自動改札機なんてのもないだろう」と.
そしたら,どっこい.なーんだ都会じゃん.自動改札口もあれば,銀行もある.ビルだってあるぞ.まったく,都会人の「なにもない」なんてあてにならない.ほんとのいなかを知らないやつらとは話にならん.などと腹を立てつつ,でも内心ホッとしていた.「よかった,なんとか取材になりそうだ」と.
さて,駅を出て線路を渡ると,そこには「矢向商栄会」という名(?)の商店街がある.よし,きょうはここでなにかを発掘しよう.意気込んで歩くこと約5分.あれ? もう,商店街が終わっちゃった.うーん,1回歩いただけじゃわからない.もう一度,引き返す.ん? なにもない….おそらく休日後のせいか,シャッターの閉まった店が多い.こうなったら,聞き込み調査開始.カフェインも切れてきたことだし,Cafeに行く.冷たいカフェモカを飲み,落ち着いたところでお店のおねえさんに聞く.
私 「すみません,矢向の名物ってなんですか?」
店 「えっ,矢向の名物? …….なんにもないですね.」
|