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動的リコンフィギャラブルPLD技術の企業Quicksilverが日本支社を設立


 ダイナミック・リコンフィギャラブルPLDの研究・開発企業である米国Quicksilver Technology社は,日本支社を設立した.ダイナミック・リコンフィギャラブルとは,PLDの動作時に,動的に回路構成を変更する技術である.たとえば,ある期間はAという回路を,別の期間はBという回路を同一チップ上に実現する.チップ上に必要なときに必要な論理だけを展開できるので,事実上,LSIが内蔵している回路サイズよりも大規模な論理を利用できる.日本支社の代表取締役は河南公宣氏.

 同社はダイナミック・リコンフィギャラブルPLDの技術をAdaptive Computing Machine(ACM)と呼んでいる.ACM技術を利用するチップには,ダイナミック・リコンフィギャラブルに対応したPLDコア(Adaptive Computing Fabric),PLDのプログラム・データを圧縮して格納するキャッシュ・メモリ,動的なプログラミングを制御するコントローラ回路が集積されるという.さらに,RISCプロセッサ・コアを搭載し,ハードウェアとソフトウェアの両方に対してプログラム可能にする.

 同社は,低消費電力の携帯機器やワイヤレス通信機器に搭載するLSIに本技術を利用することを考えている.たとえば音声コーデックのQCELP(Qualcomm Code Excited Linear Prediction)アルゴリズムを実装すると,DSPでは消費電力が84mW,シリコン面積が4mm2,ASICでは消費電力が18.45mW,シリコン面積が19.8mm2になった.一方,ダイナミック・リコンフィギャラブルPLDコアとRISCコアを集積したLSIを利用した場合,消費電力が10.9mW(PLDコアが2.9mW,RISCコアが8mW),シリコン面積が7.15mm2(PLDコアが5.15mm2,RISCコアが2mm2)で済むという.

 同社は一種のIPベンダとして活動していく.ACM技術を開発し,ライセンス管理専門の関連会社を通して顧客にライセンスしていく方針.また,チップの製造についても,ライセンス先の企業と合弁会社を設立して事業を行うという.2001年9月ごろにACM技術を利用したエンジニアリング・サンプルができあがる予定.2001年末ごろに外部に公開していく予定.


クイックシルバー・テクノロジー・ジャパンのホームページ

http://www.quicksilvertech.co.jp/




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